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問題の答えはネックリージョン

今回は、この前の問題の答えを、お教えいたします。
この写真をご覧ください。
同じ猫の反対側の奥歯です。

前の写真を比較すると、一番奥の山(歯冠)が、半分なくなってることに気づかれると思います。
ちなみに、この写真の奥歯も、下半分が吸収されています。

これは猫特有のネックリージョンという病気で激しい痛みを感じます。
詳しくはホームページをご覧ください。

この子は奥歯が4本共に、ネックリージョンで口内炎を併発していました。

治療として、犬歯を残し、すべて抜歯しました。

次に処置後、1週間の写真を掲載しておきます。
口内炎も見事に治癒しています。

食物繊維と歯 その2

食物繊維のほとんどは植物性食品に由来する。そして、水に溶けない“不溶性”
 と“水溶性”の食物繊維がある。今回話題にしたいのは、“不溶性食物繊維”
 である。これは、別名“粗繊維”と呼ばれ野菜のスジなどに含まれる硬い繊維
 のことである。それでは、この繊維は、どうして硬いのだろう?
 
 動物細胞の特徴は、軟らかい細胞膜で覆われていることだ。そして動物には、
 骨がありこれで体を支えている。一方、植物には骨がない。これでは、葉や花
 の重さに耐えきれないし、空に向って伸びることもできない。そこで植物細胞
 は、周りに硬い“細胞壁”を持っている。ちょうど大きな建物の鉄骨と同じで
 ある。
 
 また、動物が果物を食べるときには、種も一緒に飲み込む。種の表面は硬く消
 化できない。だから動物が離れた場所で排泄することで、種子は発芽し子孫を
 残すことができるのだ。このような理由から細胞壁が、不溶性食物繊維として
 体に良いことがわかる。
 
 それでは食物繊維と歯との関係。ある幼稚園で野菜の摂取頻度と齲蝕との関係
 について調べた。その結果、野菜をよく食べる子の乳歯の平均齲蝕歯数は5.1
 歯。一方、ほとんど食べない子は8.1歯であった。野菜をよく食べる子は、
 齲蝕が少ないことがわかる。これは自浄作用のおかげだろう。
 
 それを示唆する別の研究。ネズミにデンプン(14%)と砂糖の混合食を与え
 たら、約70%に齲蝕がみられた。一方、セルロース(14%)と砂糖の混合
 では、40%以下となった。硬い食物繊維をよく噛むことで、齲蝕の発生が抑
 えられることがわかる。
 
 ところで、齲蝕が多いから野菜を食べる事ができないことも考えられる。「歯
 を抜いたら便秘になった。」とか「歯を治したら便秘が治った。」などの話も
 耳にする。なかでも根菜類は、歯がないと食べられない。いくら体に良い食物
 繊維でも、噛まずに飲み込んだら消化不良を起こす。実際に、高繊維食は低繊
 維食に比べ、20回以上噛む回数が増える。すなわち食物繊維の摂取は、噛め
 る歯の存在が重要であったのだ。

 確かにウサギには虫歯はありません。
 しかし最近のウサギは高繊維食(牧草)を食べない環境で育てられています。
 ウサギのオヤツに、ろくなものはありません(ウサギ専門医の話)。
 将来、ウサギにも虫歯が起こるのでしょうか?
 

激しい歯の痛み

このレントゲンは昨日行なった、

猫の歯科処置前のレントゲンです。

激しい痛みがありました。

このレントゲンを見て何処が病変部か判れば

あなたも立派な、歯のお医者さんです。

ホームページの中にヒントは書かれています。

答えは次回お届けします。

(さらに…)

イヌの歯周病

今回は症例を1つ紹介します。

10歳の短頭種
近医で歯科処置を断られたために、当院を受診しました。

初診でレントゲン、心電図、血液検査を行ないました。
その結果、血液検査では問題がないものの、
気管虚脱症と右心の拡大が認められました。
短頭種の場合、呼吸器の疾患は多く見受けられます。
歯科処置の場合、気管チューブを挿菅後、何度か体位を変えるために
手術中の気管への損傷を最低限に抑える必要があります。
そうしないと、術後に予想外の合併症が起こる可能性があります。
このリスクのために、処置を断られたのだと思います。

今回の症例の場合、歯科処置以前の麻酔に対してのリスクが大きく
特に短頭種の場合、歯科処置を拒否されることは珍しくありません。

麻酔をする前に、予測される症状を抑える薬と
ICUでの酸素化を行い、処置に望みました。
インターネットで調べて来院されるオーナーさんが多いため
ほとんどが、重度の歯周病疾患です。

この子に関しては今後、麻酔をできるだけ避けるために
できる限り、抜歯(19本)を行ないました。
処置時間は2時間を越えました。
しかし、予想外に麻酔後の合併症もなく
次の日にはしっかりご飯を食べ、退院しました。

このように、老齢だからといって、歯科処置ができないことはありません。
しかし、かなりのリスクがあるのも事実です。
当院の場合、近医で治療を断られた子が来院する機会が多いので
処置時間としては平均2時間を要します。
この時間は、イヌの避妊手術の4倍の時間です。
歯科処置といえども、口腔外科と認識してください。

オーナーさんは大変ですが
歯磨きはとても大切ですよ。

(さらに…)

食物繊維と歯 その1

Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
 

 今回から、2回に分けて食物繊維と歯の関係について述べる。
 
 太平洋戦争中、北太平洋のある島での出来事。アメリカ軍が上陸したとき、日
 本の守備隊は森に隠れた。このとき、アメリカ軍は、どの位の日本兵がいるの
 かわからなかった。
 
 そこで、問題1。アメリカ軍は、日本兵の残していった“ある物”を元に、人
 数を推定した。さて“ある物”とは、次のどれだろう?
 1:飯盒(はんごう)
 2:兵器
 3:ウンチ
 正解は、3のウンチの量から予測したどうしてウンチから予想できるのだろう?
 
 アメリカ軍は、自分たちの量を基準にしたために、大きく予想がは
 ずれてしまった。当時の日本人は、穀類を多量に食べていたのでウンチの量が多
 く、約2倍の日本軍がいると予想したのだった。ウンチの量に関する“ウンチク”
 は、もっとある。
 
 昭和30年代。日本に団地ができた時、水洗式のトイレも初めて導入された。そ
 の頃は、トイレの配水管がよく詰まり、団地内で汚物が溢れ出し苦情がでた。そ
 う!これも、排水管の太さをアメリカの基準で決めていたからなのだこのように
 ウンチの量は、食物繊維の量で決まる。食物繊維は“人間の消化酵素で分解され
 ない食品中の成分”と定義されている。例えば、ヒトはセルロースを消化するこ
 とができない。だから、カサを増やせ大腸を刺激することで便通を促し便秘の予
 防となる。諺でも「固い食べ物は軟らかいウンチを、軟らかい食べ物は固いウン
 チをつくる。」と言われる。
 
 さて便秘は、“痔”になりやすくなる。ある肛門外科の先生によると、手術をす
 る前に、食物繊維をたくさん食べるとウンチが軟らかくなり自然に治る可能性が
 あるそうだ。しかし玄米など食物繊維を多く含むものは、硬くて食べにくいので、
 口当たりの良い白米を食べるようになり、摂取量が減少しました。1日の目標値
 は20gであるが、現在ではその70%くらいしか食べられていない。そこで、
 日本では少なかった大腸がんが増加している。
 
 さてかつての栄養問題は、栄養不足をどう解消するかが大問題であった。ところ
 が現代では、過剰な栄養摂取による生活習慣病の予防が問題となっている。そこ
 で、“食べカス”である食物繊維が見直されています。ここまでは、まるで栄養
 学の話・・と思われるでしょう。
 
 次回はこの続きで、食物繊維と歯の関係について述べたいと思う。

 ペットにはあまり関係ない話題かもしれませんが、参考までに。
 

お気に入りのサプリ

私、個人のお気に入りサプリメントを紹介します。

歯科処置を行なった後に1つのサプリメントを進めています。
それはラクトフェリン製剤です。
この作用においては、以下のような内容です。

乳由来成分「ラクトフェリン」による歯周病改善効果を発見

 ライオン株式会社研究開発本部では、う蝕や歯周疾患など、オーラルケアに関する研究を進めております。この度、石川 烈名誉教授、株式会社ジェネティックラボと共同で、世界で初めて遺伝子解析手法を用いて歯周病による歯肉ダメージのメカニズム解析に成功いたしました。
さらに、その知見をもとに、牛乳・母乳などに含まれる多機能性タンパク質である「ラクトフェリン(LF)」が、歯周病菌の出す”毒素”を解毒し、炎症の進行を抑制することを解明いたしました。遺伝子解析から得た知見をもとに、歯周病菌の出す「毒素」の解毒機能を見出したのは世界初の成果です。

当院ではこの3ヶ月でおよそ200件の患者さんにこのサプリメントを試用しています。
オーナーさんの評判もよく、ぜひ試用していただきたいサプリメントです。

ここで1つ重要なことは、歯周処置(歯石除去)を行なった後に
このサプリメントを試用することです。
歯石除去に勝る、歯周病改善方法はありません。

臼歯の破折

イヌの臼歯は割と簡単に割れてしまいます。

この症例は典型的な症例です。

ヒズメを食べて割れてしまいました。

破折して早く気がついたので、残すことが可能でした。

ヒズメのオヤツは絶対にダメです。

(さらに…)

犬咬傷の経験

連休も終わり、ペットも、くたくただと思います。

今週は文献要約から

犬咬傷の経験: 獣医科学生および獣医看護学生に対する調査

方法
2003年にマッセイ大学に入学した獣医科学生および獣医看護学生に対
して、自身の生涯における犬咬傷の経験のアンケートを実施した。

結果 

調査に対する回答者は228人であり、87人 (38%)が犬に咬まれたことがあった。
ほとんどの咬傷は軽度の傷害 であったが、17人(20%)は治療が必要であった。
男性の回答者はより咬まれ る傾向があった。
6~10才の間に咬まれるのが、回答者の割合で最も多く (27人;31%)。
最も頻繁に咬まれるからだの部分は手であった。
咬まれたヒトが知っている犬に咬まれること が最も多かった。
都市部の住人よりも、田舎に住んでいる回答者の方が3倍咬 まれている傾向があった。
咬傷のほとんどは咬まれたヒトの家であった。 (31人;36%)。
咬傷を起こした犬は、雌犬(24頭;28%)よりも雄犬 (38.44%)の方が割合が多かった。
犬が咬んだ理由は、家を守るため、遊び、手荒に扱ったため、および疼痛であった。

結論 
田舎居住者、犬との経験が多いヒト、11歳齢未満の子供、および男性
回答者が犬に最も多く咬まれていた。

今まで何回、咬まれたか。
その大半は、ネコですが・・・。
これも、動物病院ならではの試練です。

(さらに…)

「犬はうれしい時、右へしっぽを大きく振る」

今回は気になる記事を1つ。

「犬はうれしい時、右へしっぽを大きく振る」。
イタリアの研究者はこのほど発表した論文で、こんな実験結果を明らかにした。
インターナショナル・ヘラルド・トリビューン紙によると、
論文をまとめたのは、伊トリエステ大学のジョルジョ・バッロールティガラ氏ら3人の研究チーム。
内部にカメラを設置したかごに犬を入れ、
飼い主、他人、猫、見知らぬ犬と対面させてその反応を調べた。
実験では、飼い主を見た時、犬は元気いっぱいにしっぽを右に振り、
攻撃的な見知らぬ犬の場合には、しっぽを左に振るとの結果が出た。
他人や猫の場合も右にしっぽを振ったが、振り方が飼い主の時よりも小さかったという。

病院の中では、あまり尻尾を振ってくれません・・・。 

犬のガン検診・猫のガン検診

当院でも血液検査による犬のガン検診ができます。

ネコのがん検査は5月にも実用化される予定です。

詳しくは http://www.pet-life.jp/

をご覧ください。

(さらに…)

臼歯の平板破折

臼歯の平板破折の典型的な症例です。

ヒズメのオヤツが原因の破折です。

歯肉の奥まで割れていたので、抜歯となりました。

オヤツにはご注意を。

(さらに…)

症例の追加(含歯性のう胞)

歯の治療について

歯の発育障害・不正咬合の中に

含歯性のう胞をアップしました。

(さらに…)

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