歯の保存修復
生活歯切断術
この症例は攻撃性が非常に強い柴犬です。
飼い主の希望により、犬歯による受傷が激しいことを考慮し
4本の犬歯を短くカットした後、コンポジットレジンにて歯冠の修復を行いました。
咬まないように訓練することが第一だと思いますが、これも1つの手段ではないでしょうか。
現在でも歯を切断したまま無処置、という獣医師がいることに驚かされます。
無処置であれば歯は当然死んでしまい、歯根に化膿性病変が形成され
激しい痛みを生じます。
歯冠破折の症例の紹介
今回は破折の症例を紹介したいと思います。
歯の破折は外傷において最もよく見られます。
原因はさまざまで、硬いものを良く咬む癖がある場合、落下事故、喧嘩などがあります。
一番の原因は、豚のヒズメをおやつに与えているケースです。
最も歯折しやすい歯は犬歯と上顎第4前臼歯および切歯です。
一般的に破折後の時間が経過していなければ抜髄しなくても大丈夫です。
生後1歳未満の未成熟歯の歯折であれば受傷後72時間以内、
2~3歳齢の成熟歯であれば48時間以内、
3歳齢以上であれば24時間以内である場合は抜髄しなくても大丈夫です。
イヌの犬歯の破折
シェルティーの外傷による破折です。
外傷後すぐに来院されたので、歯科用X線検査を行い、破折部、根尖病巣の確認を行いました。
破折後時間が経過していないことから、生活歯髄切断術を行いました。
犬歯を少しカットして、ラウンドバーで窩洞形成を行い
光重合型コンポジットレジンを用いて歯冠修復を行いました。
イヌの上顎第1後臼歯の破折
柴犬の外傷による破折です。原因は豚のヒズメのおやつによるものでした。
歯を痛がっている様子は無いとのことでした。
破折部分に歯石の沈着が見られ、露髄をしており、歯冠の変色も見られたため
抜歯が適応と判断して、分割抜歯を行い縫合しました。
イヌの下顎第1後臼歯の破折
臼歯の破折の場合、ほとんどが上顎の臼歯なります。
この超大型犬の症例では、下顎の一番大きい歯冠が破折しました。
それも平板破折ではなく、完全に歯冠が無くなっています。
露髄はなく、間接覆髄法にてコンポジット修復を行いました。
イヌは歯冠が折れるまで咬合するため、再発を避けるためには
オーナーさんの注意が必要です。