イヌの歯周病 | ナス動物病院
イヌの歯周病
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今回は症例を1つ紹介します。
10歳の短頭種
近医で歯科処置を断られたために、当院を受診しました。
初診でレントゲン、心電図、血液検査を行ないました。
その結果、血液検査では問題がないものの、
気管虚脱症と右心の拡大が認められました。
短頭種の場合、呼吸器の疾患は多く見受けられます。
歯科処置の場合、気管チューブを挿菅後、何度か体位を変えるために
手術中の気管への損傷を最低限に抑える必要があります。
そうしないと、術後に予想外の合併症が起こる可能性があります。
このリスクのために、処置を断られたのだと思います。
今回の症例の場合、歯科処置以前の麻酔に対してのリスクが大きく
特に短頭種の場合、歯科処置を拒否されることは珍しくありません。
麻酔をする前に、予測される症状を抑える薬と
ICUでの酸素化を行い、処置に望みました。
インターネットで調べて来院されるオーナーさんが多いため
ほとんどが、重度の歯周病疾患です。
この子に関しては今後、麻酔をできるだけ避けるために
できる限り、抜歯(19本)を行ないました。
処置時間は2時間を越えました。
しかし、予想外に麻酔後の合併症もなく
次の日にはしっかりご飯を食べ、退院しました。
このように、老齢だからといって、歯科処置ができないことはありません。
しかし、かなりのリスクがあるのも事実です。
当院の場合、近医で治療を断られた子が来院する機会が多いので
処置時間としては平均2時間を要します。
この時間は、イヌの避妊手術の4倍の時間です。
歯科処置といえども、口腔外科と認識してください。
オーナーさんは大変ですが
歯磨きはとても大切ですよ。
070707