歯の発育障害・不正咬合

含歯性のう胞

この病気は歯冠が形成され始めた後のエナメル器に嚢胞化が生じたものといわれてます。
通常、嚢胞腔内に埋没歯の歯冠が入っています。

この症例は2歳のチワワです。
写真のように下顎の前臼歯付近に膨隆が見られ、歯が変位していました。
X線検査により、広範囲の歯槽骨の吸収と、膨隆内に歯冠の存在を認めました。

治療としては埋没歯と嚢包壁の上皮の除去を行ないました。
切開後、炭酸ガスレーザーにより上皮を蒸散した後骨補填材料を充填して縫合しました。

このような症例はあまり見られませんが、隣接する歯が変位したり、歯根が吸収する場合があるため
早期に外科治療することが必要です。

猫の過剰歯

写真は猫の上顎臼歯の過剰歯です。
咬合に問題が無いため、治療しません。

犬の過剰歯

過剰歯はすべての犬種に見られその割合は、9%と報告されています。
切歯や臼歯の過剰歯は当院のでも、よく見かけますが写真は、1歳の小型犬の犬歯の過剰歯です。
一般的には抜歯ですが、欠損部が大きくなるため、生活歯切断術を適応し、保存しました。

エナメル質形成不全

エナメル質形成不全は猫より犬に多く見受けられます。
本症は、1~4ヶ月齢の永久歯歯冠形成期に起こったエナメル芽細胞に対する障害の結果生じます。
外見的には歯冠の一部が茶色に着色します。
エナメル質が欠損しているために破折や知覚過敏を示します。
これに対する治療として、歯質の保護、知覚過敏の防止、歯冠形態の回復として予防歯科処置後、

コンポジットレジンなどでの歯冠の修復をします。

乳歯遺残

日常診療でイヌの乳歯遺残は小型犬に多く見られます。
正常では永久歯が形成される時期(生後6ヶ月)に乳歯は脱落します。
乳歯と永久歯の間に食物残渣や歯石・歯垢が沈着することにより歯肉炎や歯周病が生じます。
治療としては、生後6ヶ月から7ヶ月での早期の抜歯になります。

当院では、避妊・去勢手術時に合わせた抜歯を提案しています。

犬の犬歯の不正咬合

これらの写真は、犬歯の不正咬合の症例です。

不正咬合が見受けられても、臨床上問題が無ければ、後は美容上の問題だけです。

たとえば、犬歯が口蓋や切歯に当たって、潰瘍や閉口異常が生じている時などです。

左端の症例では、美容上、後ろに引っ張って本来の位置に移動することが可能です。

中央の写真では下顎犬歯が口蓋に当たっているので、乳歯を抜歯して、下顎の犬歯を外側に移動します。

右端の症例では、臨床上、何も問題が無いので無処置です。

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