低出生体重児と生活習慣病 | ナス動物病院
低出生体重児と生活習慣病
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こんにちは、皆の調子はどうですか?
今週はウサギや犬、猫の歯科処置ばかりしていました。
病院の入り口を間違えて来られるオーナーさんのために
今頃になって、案内表示の看板を用意しました。
遅くなって申し訳ありません。
病院の入り口は向かって右手になります。
宜しくお願いします。
今回は、お気に入りのコラムから。
「低出生体重児と生活習慣病」
岡崎 好秀
最近、歯周病が早産や低出生体重児の原因となっている可能性が指摘されてい
る。歯肉の健康な妊婦に比べ中・重度歯周病に罹患している場合では、
早産や低出生体重児出産のリスクが7倍高いとしている。
ちなみに低出生体重児とは、2500グラム未満の新生児である。
平均出生体重は現在の教科書では3000グラムとなっている。
これに伴って低出生体重児の割合は1975年には男児4.7%・女児5.5
%であったのが、2000年にはそれぞれ7.8%、9.5%まで増加してい
る。この増加原因の一つは、過剰なダイエットである。もう一つが女性の喫煙
率の増加や受動喫煙だ。友人の産婦人科医によれば、超音波検査で見ると妊婦
が喫煙した瞬間に、ニコチンにより子宮が収縮し、胎児への血液の供給が止ま
ると言う。
低出生体重児は成人後、生活習慣病に対するリスクが高くなる。
どうして、数十年も経てから問題が起こるのだろうか?
考えられることは、誕生時の身体の状況である。
胎児への栄養は、胎盤を経由して送られる。しかし栄養は、胎児の身体に均等
に送られるのではない。優先順位があるのだ。まず生命保持のためのエネルギ
ーが必要だ。次には脳を発達させなければならない。一方、胎児は筋肉を使わ
ないし、老廃物も胎盤を通じて排泄される。そのため筋肉や腎臓への供給は後
回しになる。しかも、これらの細胞は出生後増えることはない。そのため細胞
数が少ないまま誕生する。腎臓におけるネフロンの数は、100万個といわれ
ているが、低出生体重児では、ひどい場合は約1/3しかないのだ。これでは
尿を濾過する時、過重負担になりネフロンが壊される。そうすると血圧が高く
なり、またネフロンが壊される。この悪循環が、腎機能を低下させる。
一方、出生時体重の少ないものほど、筋肉にインスリン抵抗性ができやすい。
理屈はこうだ。インスリンは、血液中のブドウ糖を筋肉に送り込むことで血糖
値を下げる。しかしインスリン抵抗性があれば、ブドウ糖の供給が少なくても
血糖値は一定に維持できる。このような状態の元で、過食が続けばどうなるだ
ろう?血糖値が高くなり、二型の糖尿病を誘発する。
このことから低出生体重児は、出生時だけの問題でなく、長い人生にも影響す
ることがわかる。歯科医師は、歯周病予防や禁煙指導を行うことで、低出生体
重児を減らことができる立場にあるのだ・・・・・・。
人間ですら、このようなことが起こっているわけです。
歯を磨かないペットの歯周病は、人よりもっと重度です。
子犬や子猫たちに悪影響が現れるのも、当然かもしれません。
「交配させる前には歯科処置を!」
そんな時代が来るのでしょうか?
070721