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「無麻酔での歯石取りはダメ?!」の現状

以前連載していた
無麻酔での歯石取りはダメ?!」を
まとめて掲載しておきます。

長文ですが興味のある方は読んでみてください

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無麻酔での歯石取りはダメ?!

最近、増えてきた、この話題について、数回に分けてアドバイスさせていただきたいと思います。
獣医師でも、肯定派・否定派それぞれの意見があるので、私なりの意見を述べます。

最近、大都市などで、トリマーさん、獣医さんが無麻酔の歯科処置を大々的に広告している、
ケースが多くみられるようになりました。

え、トリマーさんが歯石除去?
美容室に行って、歯石取るの?
歯科の勉強もせずに、そんなことできるんだ?
ペット業界は何でもアリの状態になっていますね。
そんなこともあり、せめてこのブログでは、獣医師として説明する場所を提供したいと思います。

皆さん、麻酔をしない=麻酔の事故はない=料金が安い
この言葉に誘われて、歯石除去をする場所を決めていませんか?
ホントにこれでいいのでしょうか?

まず始めに、
皆さんの想像している「歯石取り」したくなる汚れの程度
(歯石の付き具合)の基準を決める必要があります。
たぶん、オーナーさんの頭に浮かぶ、「歯の汚い口腔内の映像」は人それぞれです。
今回の話をするにあたり、この基準を決めておかないと話がややこしくなります。

以前、心臓病の学会で講師の先生がこんな話をされました。
オーナーさんに説明する時に大切なことがあります。
たとえば、飼い犬が心臓病で咳き込むようになりました。
薬を飲ましても、なかなか止まりません。
そこで、お薬を1つ増やすことにしました。
そこで担当医は
「咳が続くようなら、このお薬を飲ませて、少し様子を見てください」と説明。

数日後、ひどく衰弱した飼い犬を連れて
「先生、この薬飲ませても全然効かないよ?」と診察に来ました。
慌てた担当医は「何で早く連れてこないの、
こんなに状態が悪いのに」。
飼い主 「だって先生、少し様子を見ろって言ったじゃない・・・」
担当医 「え、少しって・・・。」

これって、割とよく起こる事例です。
この抽象的な「少し」という言葉は、15分程度、1~2時間なのか、もしくは1-2日なのか
オーナーさんによって大きく違います。

担当医が具体的な時間でオーナーさんに説明すればよかったのですが自分の「少し」は全国共通と思ったことが
こんな大変な結果を招きました。

話はそれましたが、皆さんが考える
「少し歯石が付いたから歯石取りをしてないとね」は
どの程度の歯石が付いた状態で
何分程度の歯科処置が行われるとお考えですか?

① 5分程度
② 10分~30分
③ 30分以上
④ 1時間以上

もちろん程度により、かなり時間は違います。
これはあくまでも当院で行なう
軽度の歯科処置の麻酔時間ですが
オーナさんには「約1時間以上かかります」と説明しています。

皆さんも、歯のクリーニング(歯石・歯垢・着色の除去)をしたことがあると思います。
私も年に1度は行っています。

一般的に、超音波スケーラーによる除去を行いますが
その時の痛みはどうですか?

最初はクリーニングだとなめていましたが、
時々チクッとした痛みがあります。
しか、あっと言う間の痛みだし
耐えられないほどではありません。

大人なので痛い振りもできないし、文句も言えない!
しかしそれ以後、処置中はかなり身構えるようになりました。
身構えても、チクッとする痛みには、常に不快感を味わいます。
この痛みが、突然?予想外?に続いたらどうでしょう?
たぶん、私は歯科医に不信感を覚えるでしょう。
それでは、ペットはどうなのでしょうか?

ここでスケーリング方法について、説明したいと思います。
歯石を取る(=スケーリング)は、2つの方法があります。
超音波スケーラーによる除去
ハンドスケーラーによる除去
この2つの方法を・麻酔して行うか?・無麻酔で行うか?

超音波スケーラーによる除去
一般的に歯医者さんで歯石除去する際に使われる器具です。
この器具は先端を水で冷やしながら使用します。
超音波による振動のために高熱が生じ
歯に激しい痛みが生じます。

その熱を冷却するために、大量の水が必要です。
そのため歯科医は、バキュームを利用して
除去した歯石などの汚物を水と一緒に吸い取ります。

無麻酔の犬で、バキュームを利用することはできません。
そうなると、水を使用しないで、超音波スケーラーを使用しているということでしょうか?
その痛みに、ペットは耐えられるのでしょうか?
歯から取り除いた汚物はどこに行ってしまうのでしょうか?

ハンドスケーラーによる除去
ガリガリと擦って取る方法ですね。
大人しい犬であれば無麻酔で出来る方法ではあります?。
私も数頭チャレンジしたことはありますが
超音波スケーラーより大きな傷つけてしまいやすいこと。
綺麗に取れないこと。
動けば大出血の可能性があること。(少し大げさですが)
麻酔をかけないと、何とも雑で危険な行為だと思っています。

それと忘れていけないのは、
スケーリングの後に行なうポリッシング。

人では当たり前ですがペットでも当り前です。
スケーリング後は歯面に目に見えない
細かい傷が無数に付いています。

この傷があると、すぐに歯垢の再付着が起こります。
この傷を滑沢にするのに、歯面の研磨が必要になります。
このポリッシングを行なったか否かは、肉眼ではわかりません。
「歯石取り」前にポリッシングが含まれるか確認されることをお勧めします。

ちょっとここで、以前の話に戻ります。
「無麻酔での歯石取りはダメ?!その2」でお話しした
皆さんが考える「歯石取り」の基準は
どの程度の汚れなのでしょうか?

当院では年間100頭以上ペットに麻酔をかけて、
歯周病の手術を行います。
平均の手術時間は、2時間前後。
他の病院と大きく異なるのは、軽度の歯科処置をあまり行っていないことです。

じゃあ、軽度ってなんなの?
ペットが無麻酔で耐えれる程度の歯の汚れ?
麻酔かけて数十分で終わる程度の歯科処置?
美容的な観点での歯石除去?
歯肉が少し腫れてるような歯肉炎?などなど・・・。

オーナーさんや獣医師の考え方はどれも正解だと思います。
私の場合、ほとんどが抜歯を主体とした歯周病手術のためにいわゆる
中程度から重度な症例です。

じゃ、自分の思う軽度って・・・・?。
改めて考えてみると、
抜歯を伴わない歯科処置=歯石取り=クリーニング?
ということ言う事になりますね。

抜歯を伴わない歯科処置=歯石取り=クリーニング?
はどうすれば、判断できると思いますか?
当院のホームページを見た方であれば、理解されていると思いますが

結局、レントゲン撮影が必須となります。
「歯石取り」なのにレントゲン撮影?・・・・当然です!

当院では、すべての歯科症例において、
口腔内のレントゲンを撮影します。

話すことのできないペットにおいて、
歯のレントゲン撮影は必須となり、見落としを最小限にします。
となると、レントゲン撮影のために、
電子フイルムを口腔内に置くため
100%麻酔をかけます。

その画像を、オーナーさんと一緒に確認させていただきます。
そのために、少し大げさかもしれませんが
当院では無麻酔での歯科処置は存在しません!

前回、「無麻酔での歯科処置は存在しません!」と書きました。
これはあくまでも当院の方針であり
レントゲンを撮らない動物病院を
否定してるわけではありません。

「高齢でリスクの高い症例でも麻酔かけるの?」と
言われそうですがもちろん麻酔はかけます。

当院に来院されるオーナーさんは
ホームドクターでは無理だと言われた
症例が多く来院します。

そのほとんどがホームドクターで
「高齢だから、リスクがあるから、麻酔をかけられない!」
「自然に抜けるまで、待ちましょう」と
言われたので、様子を見てたといった理由です。

しかし、放置しておけば,悪化するのは確実です。
じゃあどうするか?
獣医師として「私がやりましょう。」
という状況に追い込まれます。

「自然に抜けるまで待つ」と言う考えは論外ですが、
一番困るのが、「高齢だから麻酔が危険」と言う理由です。

何歳から高齢だと思っているのかは、人それぞれですが、
癌や歯周病やその他の疾患も、高齢で多く発症するのが当たり前です。

それでも、高齢だからと言う理由で手術しないのでしょうか?
通常、癌や膀胱結石、椎間板ヘルニア、子宮蓄膿症などの
疾患は高齢でもすぐに手術を勧めます。

しかし歯科処置に関しては、
何故か高齢を理由に手術を勧めない獣医師は
とても多い。
その理由は「すぐに死につながらないから」
ということに尽きると思います。

一度でも他の獣医師に「高齢だから手術ができない!」
と説明されると
その不安感を私が取り去ることは、容易ではありません。

その手術による麻酔が極めて危険ならば、
内科療法を継続するしかありません。

当院が手術をする症例の多くは10歳から15歳ぐらいです。
他院にて「高齢だから」と言う理由で、
歯科処置をあきらめたペットたちが集まります。

遠くは、大阪・福岡・四国から
オーナー自らインターネットで検索されて来院されます。

ここで皆さんにお伝えしたいのは、
当院では他院と比べて高度な麻酔設備がそろっているとか
麻酔に関してに、飛びぬけて知識があるとか、
麻酔事故が絶対起こらない病院だと言う事はありません。
しいて言えば、抜歯時間(歯周病手術)の時間を大幅に
短縮することによって
麻酔時間を短くすることにより、リスクを減らすぐらいです。
またまた、話が横道にそれてしまいました。

話を元に戻しましょう。
それでは、麻酔をかけないで行う「歯石取り」がペットに与える影響はどうなのでしょうか?
人での「プラークコントロール」(歯石取りと違いますが)で
一番重要なのは、歯肉エン下(表から見えない部分)の歯垢の除去になります。

ペットにおいて、オーナーさんが重要だと思う部分は
歯肉エン上(目で見えるところ)ではないでしょうか?

処置後の歯を見て、
歯石がないことで満足されてるのではないのでしょうか?

しかし本質は違います。
歯面(見えるところ)に付着している色や歯石は、
美容的な観点では重要ですが歯周病の観点からみると
あまり意味がありません。

どういうことか?
歯周病の原因は歯垢です。
歯垢(プラーク)のバイ菌が歯周病に影響します。

歯垢が留まる環境が歯石を作り出します。
「歯石になりやすい犬=歯垢が溜りやすい」ということ。
犬は「歯石になりやすい口腔環境(Ph)」で
歯石に変わるまで「約3日」です。
歯垢と歯石では、このバイ菌の数が全然違い、
歯垢に多くの細菌が含まれます.

もう一度繰り返しますが、歯垢を取り除くことが重要なのです!
そうなると歯面に付いている、歯石を器具を使って除去することがあまり重要ではないことが、お分かり頂けたでしょうか。

重要なのは歯肉エン下の歯垢を、
いかに綺麗に取り除くかと言う事になります。

この目視できない部分の、歯垢を無麻酔で除去することが
ペットで可能だと思いますか? (∵`)

今までのことを理解して頂いたうえで
1 軽度の歯石の付着であること。
2 歯肉エン上の歯石の除去を試みる。
3 歯肉エン下の歯垢の除去を試みる。
これらを条件に、
無麻酔でチャレンジしてみましょう。
(ここからは想像でのシュミレーションです。)

まず、スタッフに犬を保定してもらいます。
超音波スケーラーでは、水が必ず必要なため、
処置中の汚れた水を口の外に出さなければいけません。
(飲みこませるわけにいかないし。)
といって、水を使わなければ、超音波スケーラーの熱で
激しい痛みを伴うため大暴れするでしょう!
(虐待ですね)

そのために、最初から超音波スケーラーの使用は諦めました。
そうなると、使用できるのはハンドスケーラーのみ。
おとなしい子であれば、歯面が傷つくことをお話しして、どうにかチャレンジ。

見た目に満足できる程度に、大きな歯石を取って、満足?
できない所は、「今度麻酔かけてね!」と飼い主に一言。
ここで終了すればいいのですが?

どうしても、歯周病の予防に重用な場所の
歯肉エン下にアプローチしたいとこです。
(一番重要なところです!)
歯と歯肉の隙間に器具を入れて、ゴリゴリ削るなんて
至難の業。

動かれると歯肉が傷つくし、
私に怒られながら
スタッフが2人がかりで押さえつけて
どうにかすべての歯を掃除。
犬もスタッフも汗だく!
ペットは歯肉を突かれた痛みと、
押さえつけられた恐怖でトラウマに。
オーナーさんにも決して、歯を見せてくれない。
口に手を近づけると、噛みついてくるようになり
歯ブラシもできなくなる。
挙句の果てに、私も嫌われる。

と、勝手に想像しましたが、皆さんの感想はどうでしょう?
じゃあ最初から、麻酔した方がいいと思うのですが?
それでも、「うちの子はいつも、無麻酔だよ!」という子は
とても我慢強い子ですね!笑

ペットの口腔内を清潔にする目的は歯周病予防です。
ホームケアが難しくなる可能性が高くなる
無麻酔の処置が本当に必要なのでしょうか?

無麻酔では、麻酔というリスクではない
「他のリスク」があります。
無麻酔の処置は「精神的苦痛+本来の痛み」が伴います。
すると、その後のホームケアができません。

歯周病予防のためには
歯周ポケットがキレイに維持されることが大切です。
「見ためはキレイ」に見えても、
ポリッシングをしないのでは
歯の表面が傷ついていたり、
歯肉エン下が傷ついているかもしれない。

麻酔は決して、安全ではありません。
しかし、処置前に必要な検査(血液検査やレントゲンなど)を行うことで、
リスクを最小限にすることは可能です。
これはすべての外科処置に共通です。

歯石除去を無麻酔でするか?しないか?
歯磨きが出来れば、本当は必要ない議論なのですが、
飼い主がその気でも、やっぱりペットの性格しだい。
正直、難しい問題です。

よく、本などには簡単そうに解説されてますが
当院に来院されるオーナーさんと、お話をしても
現状は思ったようにいきません。
来院患者の5%程度でしょうか?

そうなると、歯ブラシ以外の方法を
見つけなければいけないのですが
人と同様に、ブラッシングに勝るものはありません!

やはり、ダメもとで若齢の頃から
ブラッシングをチャレンジしておかないと無理です。

詳しいブラッシングの方法は
いろいろな先生の情報を参考にしてください。
できなくて当たり前、できたらラッキーぐらいの心構えで
チャレンジしてください。

歯石取りについて、私なりの意見を述べました。
参考までに、アメリカ獣医歯科学会のホームページでも
トレーニングを受けていない人たちによる無麻酔でのスケーリングが
いかに危険で不適切な行為であるかが説明されています。

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ア メ リ カ 獣 医 歯 科 学 会
アメリカとカナダでは、
獣医師の資格を持たない人が歯科処置を行ったり、
監督下で訓練された動物看護士が、
獣医のライセンスのない施設で診療行為をすることは、
法律で禁じられ、罰則が科せられます。
アメリカでも、訓練を受けていない人、
あるいはライセンスを持たない人が、
動物に対する口腔内の診療行為を無麻酔で実施することの
危険性を以下のように説明しています。
1)
歯石は歯面に硬く付着しています。
歯石を取るためのスケーリングは、超音波スケーラーや音波スケーラー、
さらにハンドスケーラーを使って行われますが、
ハンドスケーラーの先端は鋭い状態でないと歯石を除去できません。
動物がちょっと頭を動かしただけでも動物の口腔粘膜を容易に傷つけるばかりでなく、
動物が痛みを感じた反応で、術者を咬むこともあります。
2)
専門家によるスケーリングとは、歯肉縁の上下を問わず、
ついた歯垢や歯石を除去し、歯面を研磨することです。
スケーリングで必ずしなくてはならないことは、
歯周疾患が活動的であるポケット内(歯肉と歯根の間の歯肉炎直下)
の歯面をきれいにすることです。
ヒトの場合は患者が協力するので、
無麻酔でも口腔内の専門医である歯科医によるスケーリングが可能になるのです。
しかし、無麻酔で、犬や猫の一本一本の歯の縁下部のスケーリングは不可能です。
目で見える範囲の歯石を除去することは、
動物の健康維持にはほとんど効果がなく、きれいにしたような感じがするだけです。
単に見た目だけの効果しかありません。
3)
カフ付きの気管チューブを挿管して吸入麻酔をすることは、
3 つの重要な利点があります。
1 つは、手技を理解できない動物を協力的にさせること、
2 つは検査時や施術中の患部組織の治療に際して発生する痛みを排除できること、
3 つは誤嚥から気道や肺を守ることです。
4)
専門的なスケーリング施術時に、口腔内検査は必要不可欠ですが、
これは無麻酔では不可能です。
特に、舌側の歯面を検査することはできませんし、
患部や不快感をもたらすか所を容易に見逃してしまうでしょう。
イヌやネコに安全に麻酔あるいは鎮静処置を施すためには
動物の健康状態を評価し、身体の大きさに合わせて適切な薬用量を決め、
継続してモニターする必要があります。
獣医師は、以上のすべての手技に精通しています。
獣医師でない者が麻酔薬や鎮静薬を処方することも
投与することもとても危険であり、違法です。
麻酔は決して 100%安全とは言い切れませんが
今現在の一般的臨床医が実施している麻酔技術や健康状態の評価法は、
リスクを限りなく小さくしているので、
毎年、何百万回の歯科処置を安全に実施できているのです。

ここで少し、歯周病について簡単に解説しておきます。
歯周病は歯の土台の骨が溶ける病気です。
そうなると、血に細菌が入って、臓器や免疫機能に影響します。
また口腔内で繁殖した細菌の混ざった唾液で体表を舐めます。
皮膚病の原因のとなることもあります。

小型犬や短頭種はアゴの骨は小さいですが、
大型犬と比べて、歯の大きさは比例して小さくありません。
つまり大型犬と比べると、体の割には歯が大きいと言う事は、
歯と歯の間のスペースが、狭いと言う事です。
そうなると、大型犬に比べ歯垢が留まりやすい。
小型犬は歯周病になりやすいし、アゴの骨が細いので骨折しやすくなります。

大型犬よりも小型犬の方が寿命が長いので、
歯石の付着量も多いことになります。
余談ですが、歯石を取るために固いものを噛ませる必要があるの?
という疑問があると思います。

犬の歯は、すりつぶす咬合ではないから、
固いものを与えると歯が割れたり、折れたりします。
多くが、ヒヅメなどのおやつ類です。
歯石を取る目的で、固いものを与えてはいけません。

このたび10回のシリーズで、「無麻酔での歯石取り」について
自分なりの意見を述べてきました。
皆さんはどのように感じられましたか?

歯科の分野は獣医学の中でも、一番遅れている分野だと思います。
これは人での医者と歯医者では進む大学が違うように
まったく、異なる職種になります。

しかし獣医師は、あらゆる病気に対しての治療が要求されます。
近年、獣医学も細分化され、さまざまな専門医がいます。

専門分野での進歩も非常に早く、
すべての治療において最先端を進むことは絶対にできません。
しかし、歯科学において、今回お話した内容は
歯科の基本であり、常識的なお話です。
ただし、獣医大学において歯科学の講義はありません。
すべてが、卒業してからの独学です。

少しでも歯科に興味のある獣医師であれば
このような、最低限のルールを理解している筈なのですが
「無麻酔での歯石取り」が公然と行われているのが現状です。
ペットのオーナーさん自ら、歯科に関心を持って頂き
歯石取りの重要性を認識していただければ

今回のシリーズを掲載したことがお役にたてて幸いです。
長い間 ありがと~ございました。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この初めての投稿から、かなりの時間が経過しました。
最近では歯の重要性も少し定着して
多くの患者さんが来院されています。

年間の手術も150症例近く
毎回新しい経験をさせて頂いています。

少しでも皆さんのお役に立つように
頑張っていきます。

なんとなく
口の中が気になるオーナーさんは
気軽に相談に来てください。

フードの販売

病院でのフードの販売
 

フード価格の変更のお知らせ
 

犬用
 

以下のフードは継続に限り、2回目以降10%OFF

     

  1. 1. セレクトスキンケア 8Kg 16Kg
  2. 2. アミノプロテクトケア 3Kg
  3. 3. アミノペプチドフォーミュラー 3Kg
  4. 4. 腎臓サポート 8Kg
  5. 5. W/D小粒 3Kg


 

猫用
 

以下のフードは継続に限り、2回目以降10%OFF

     

  1. 6. pHコントロール 4Kg
  2. 7. 消化器サポート(可溶性) 4Kg
  3. 8. 満腹感サポート  4Kg

 
ネット販売と、ほぼ同等の金額に設定しています。

ぜひご利用ください。

  

3キログラム以上のフードにおいて、金額を5%割引して販売しています。

また、一部商品においては直送も可能ですので、詳しくはスタッフにお尋ねください。

🙄 オーナーさんにお願いです。

商品の購入時には、前もって電話での在庫の確認をお願いします。

お手数ですが、宜しくお願いします。

ネコの口内炎(重度)

ネコの口内炎の症例を紹介します。
  

この猫は他院にてステロイドの持続投与をされていましたが
効果がなくなってきたということで、紹介を受けました。
 

見るからに激しい潰瘍性口内炎を起こしています。
(ステロイド持続中です)
レントゲンでは歯の溶解と歯周病がで確認できます。
このような状態でステロイドや抗生剤、
歯石除去しても、何の治療にもなりません!
 
 


 


 


 


 


 

 
このブログで何度もお話していますが

このような、口内炎の症例にステロイドや抗生剤・インターフェロン・その他もろもろを投与しても

一時的な効果しかなく、ステロイドを中心とした薬剤を持続的投与する結果になります。

そのため、糖尿病やクッシングなどの内分泌の病気に陥る

最悪の結果を招きます。
 
 

現在、口内炎の治療で定期的に注射をされているオーナーさんは、きわめて多いと思います。

ぜひ、歯の詳しい先生にセカンドオピニオンを受けてください。
 

この症例では、犬歯以外の歯を全抜歯しました。

治癒までの時間は数か月かかりましたが、今では見事なほどに完治しています。

犬の臼歯破折の2症例

先日行った、臼歯の修復の症例です。

共に、固いオヤツが原因で、破折してしまいました。
 

症例 1
 

 

 


  

症例 2
 


 


 


  
 
 

破折からの時間が短ければ、修復処置は成功します。

たまには、口の中を覗いてみてください。

犬  犬歯の内歯瘻

今回のワンちゃんは、10歳のプードルです。

基礎疾患として糖尿病の治療を継続しています。

糖尿病によって,重度の歯周病を発症します。

犬歯に内歯瘻が認められたため、手術を行ないました。


 
 

今回は犬歯と臼歯を含め、10本の抜歯を行ないました。

歯肉炎の部位は炭酸ガスレーザーで広範囲の蒸散を行なっています。
 
 


 
 

 
 
2時間以上の麻酔でしたが、覚醒も良好でした。
このように、糖尿病などの基礎疾患を伴うと、歯周病は一気に悪化してしまいます。
しかし、糖尿病のコントロールが上手くいっているペットでなければ、麻酔のリスクが高すぎます。
この辺が、手術の難しさだと思います。

ネコの歯周病(ネックリージョン)

今回もネコの歯周病の症例を紹介します。
 

飼い主さんが、よく口にする症状として

「口臭が気になるんですけど」

「食べる時に頭を振る」

「口をくちゃくちゃする」

などが代表的です。
 

これって、単なる歯肉炎なのでしょうか?

歯石除去だけすれば治るのでしょうか。

答えはNOです。

犬や猫は単なる歯肉炎程度では、症状を表しません。

そこが問題なのです。
 

その原因を探るためには、レントゲンが必須です。

レントゲンを撮るためには、麻酔が必要です。

ということは、歯科処置には麻酔が必須と言うことです。

  

  

今回の症例は、中等度の歯肉炎は起きています。

よく見ると、歯冠の表面に歯肉が覆っているのが確認できます。

と言うことは、歯冠のとけた部分(ネックリージョン)を補うために歯肉が上ってきたことが予測できます。

こうなると、レントゲンの出番です。

あらゆる角度から撮影し、歯冠や歯槽骨の吸収像を確認します。

  

  

これにより、確定診断を下し、手術に入ります。

このネコは、若いながら重度の歯周病とネックリージョンのため抜歯になります。

レントゲンで確認しないで、歯石除去だけ行なっても、病気は絶対に治りません。

何度もいいますが、歯科処置にはレントゲンが必須です。

犬の歯周病

イヌの下顎の臼歯の様子です。
一見、大した事なさそうな病変でも
歯科レントゲンを撮ると、歯周病がとても進行していることがあります。
 
 
 
 

 
 

  
この症例は若い子なので、
歯肉切開後、歯石を取り除き
骨補填剤を入れて縫合しました。
高齢だと、抜歯した方が、予後は良いです。

ネコの歯周病

今回は、ネコの歯周病を紹介します。
 

症例は8歳のネコちゃんです。

食べる時に口を気にするということで、来院されました。

左右の上顎および下顎に歯周病巣が確認できました。
 
 

左側
 


 
 
 

右側
 


 
 

程度の差はあれど、重度の歯周病です。
 

この症例は、今後のことを考えて、全臼歯抜歯を行ないました。

口鼻瘻管の治療(犬歯抜歯)その後

今回は口鼻瘻管のために、抜歯手術をした手術の様子と

その半年後の写真です。
 

この犬は口鼻瘻管のために、左右の犬歯を行ないました。

見た目には、かなり綺麗な口腔内の所見です。

歯周病巣があるように思えません。
 


 


 
 

ところが、麻酔下で上顎犬歯の内側のポケットを確認すると

歯周ポケットが、非常に深いことが分かります。
 
 
 


 


 
 

これが原因で、くしゃみを引き起こしていました。

左右の犬歯を抜歯します。

 


 


 


 
 

半年後の写真です。

症状はすぐに無くなり、予後は非常に満足に行く結果でした。

 


 


 
 

このように、犬歯の外側のポッケトは正常でも、

内側部に大きな欠損が見られる症例は非常に多いです。

この程度の歯周病では、抜歯による予後はとても良いのですが

重度歯周病巣の犬歯抜歯は、テクニックを要します。

ウサギの下顎膿瘍

今回はウサギによく見られる、下顎の腫れについて。
高齢のウサギになると、下顎を触った時に凸凹していることがあります。
これは歯根伸長といって、歯が下に伸びた結果です。
 

こうなると、歯が骨膜を圧迫し痛みが生じます。
進行すると、下顎を突き抜けて感染が起こります。
これが、下顎膿瘍です。
 

今回の写真は、その重症例です。
  
  

 
 
 

下顎に大きい骨の隆起が確認されます。

ネコの根尖病巣

今日の金環日食、広島でも綺麗に見えました。
皆さんの所ではどうでしたか?
 

今回はネコの根尖病巣からの内歯瘻です。
詳しい説明は無しにして、写真をご覧ください。
 
治療は抜歯もしくは抜髄になります。
  
 

全臼歯抜歯

全臼歯抜歯の症例です。

15歳のネコちゃんです。
 

術前
 


 

術後
 

 

経過が楽しみです。

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