食物繊維と歯 その2 | ナス動物病院

食物繊維と歯 その2

カテゴリーwhatsnew役に立つ歯のお話

食物繊維のほとんどは植物性食品に由来する。そして、水に溶けない“不溶性”
 と“水溶性”の食物繊維がある。今回話題にしたいのは、“不溶性食物繊維”
 である。これは、別名“粗繊維”と呼ばれ野菜のスジなどに含まれる硬い繊維
 のことである。それでは、この繊維は、どうして硬いのだろう?
 
 動物細胞の特徴は、軟らかい細胞膜で覆われていることだ。そして動物には、
 骨がありこれで体を支えている。一方、植物には骨がない。これでは、葉や花
 の重さに耐えきれないし、空に向って伸びることもできない。そこで植物細胞
 は、周りに硬い“細胞壁”を持っている。ちょうど大きな建物の鉄骨と同じで
 ある。
 
 また、動物が果物を食べるときには、種も一緒に飲み込む。種の表面は硬く消
 化できない。だから動物が離れた場所で排泄することで、種子は発芽し子孫を
 残すことができるのだ。このような理由から細胞壁が、不溶性食物繊維として
 体に良いことがわかる。
 
 それでは食物繊維と歯との関係。ある幼稚園で野菜の摂取頻度と齲蝕との関係
 について調べた。その結果、野菜をよく食べる子の乳歯の平均齲蝕歯数は5.1
 歯。一方、ほとんど食べない子は8.1歯であった。野菜をよく食べる子は、
 齲蝕が少ないことがわかる。これは自浄作用のおかげだろう。
 
 それを示唆する別の研究。ネズミにデンプン(14%)と砂糖の混合食を与え
 たら、約70%に齲蝕がみられた。一方、セルロース(14%)と砂糖の混合
 では、40%以下となった。硬い食物繊維をよく噛むことで、齲蝕の発生が抑
 えられることがわかる。
 
 ところで、齲蝕が多いから野菜を食べる事ができないことも考えられる。「歯
 を抜いたら便秘になった。」とか「歯を治したら便秘が治った。」などの話も
 耳にする。なかでも根菜類は、歯がないと食べられない。いくら体に良い食物
 繊維でも、噛まずに飲み込んだら消化不良を起こす。実際に、高繊維食は低繊
 維食に比べ、20回以上噛む回数が増える。すなわち食物繊維の摂取は、噛め
 る歯の存在が重要であったのだ。

 確かにウサギには虫歯はありません。
 しかし最近のウサギは高繊維食(牧草)を食べない環境で育てられています。
 ウサギのオヤツに、ろくなものはありません(ウサギ専門医の話)。
 将来、ウサギにも虫歯が起こるのでしょうか?