マンマは乳児の世界共通語 | ナス動物病院
マンマは乳児の世界共通語
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今回は口腔機能について面白いコラムを見つけたので、少し要約して紹介したいと思います。
岡崎 好秀(岡山大学歯学部附属病院小児歯科 講師)
さて、唐突な質問であるが、日本の赤ちゃんが出生後1年位で発する、最初の“意味のある言葉”とは何だろう?それは、“マンマ”である。それでは、中国の赤ちゃんが発する最初の意味のある言葉とは何だろう?これも、“マンマ”である。それでは、アフリカの赤ちゃんが発する最初の意味のある言葉は?やはり、“マンマ”である。それでは“ヨーロッパ”では?“南アメリカ”では?“オーストラリア”では?そう! 答えは、すべて、“マンマ”である。世界中の赤ちゃんが、最初に発する意味のある言葉は“マンマ”なのだ。“マンマ”は世界中の赤ちゃんの共通語といえる。
それでは、どうして“マンマ”なのだろう? この解答こそ、ヒトが哺乳類であることに関係する。
さて、“マンマ“の意味は、“ゴハン”であり、“母親”であり、“乳房”である。これらの共通点は、赤ちゃんにとって、これらがなければ生きていくことができない存在である。哺乳類にとって、最初の栄養源は母乳である。この母乳を獲るためには、口唇で乳首を捕らえ吸啜することだ。そのためには、口唇を動かせ閉鎖することが必要である。
さて、“マ行”、“バ行”、“パ行”“ファ行”は口唇を使い発する音であり“口唇音”と呼ばれている。ためしに口唇を閉じないで“マ・ミ・ム・メ・モ”と言ってみよう。マ行の発音には、口唇が不可欠であることがわかる。
これは何もヒトに限ったことではない。
哺乳類すべてが同様である。
ウシは「モオー」と鳴く。ヤギは「メエー」と鳴く。それにブタは「ブーブー」であり、ネコは「ミャーオ-」である。ゾウは「パオー」と鳴き、これらすべて口唇音である。“イヌは「ワンワン」と鳴く”と言われるかもしれない。しかし、英語では、「bow(バウ)」であり、ドイツ語でも「bau」ではないか。
ちなみに爬虫類までの動物は、口唇を利用して鳴くことができない。
いずれにしても、赤ちゃんにとって最初の意味のある言葉が、哺乳類の特徴である唇音の「マ」で始まり、それが生きていくために必要不可欠であることは興味深い。
※参考:岡崎好秀:謎解き口腔機能学、クインテッセンス出版、2003.
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