なるほど | ナス動物病院
なるほど
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
寒い日が続いている。
この季節、ちょっとしたことで泣く子が増える。
なかでも一番、泣きにつながりやすい服装がある。
それは、“つなぎの服”である。
続けて、“タ-トルネックのセーター”。
それに“モコモコのジャンバー”
筆者は、この三つがそろった服装を“泣きの服装3点セット”と呼んでいる。
これだけそろうと100%どころか、200%泣かれると思っている。
それでは、どうして“つなぎの服”はよく泣くのだろうか?
さてあなたの今の呼吸。
ゆっくりした規則的で深い呼吸である。
それでは泣きの呼吸はどうだろう?
そう!速くて不規則で浅い呼吸となる。
さて患者さんは、治療時に術者の動きに応じ呼吸を調整している。
口の中を触られている時には、瞬時に息を吸ったり、止めたりしているのだ。
さて、“つなぎの服”を着て、チエアー上で寝ころぶと、
肩ヒモにより胸が締められ呼吸が浅くなる。
そのぶん息を止める時間が短くなり、苦しくて泣き出す確率が高くなる。
ちなみに、通常1回500ccの空気を吸うと、
肺の中に届く有効な空気は350cc程度となる。
ところが速い呼吸では、1回に吸う量が200cc程度まで減ってしまうのだ。
“タートルネック”も首をしめるので呼吸が浅くなりやすい。
また“モコモコのジャンバー”は、室内では暑くなり、
体温の上昇や心拍数の増加につながる。
このことも呼吸に影響する。
だから歯科診療中には、深い呼吸に誘導する配慮が必要だ。
“ジャンバー”は診療前に脱がすようにし、“タートルネック”や
“つなぎの服”は控えるように伝えておく必要がある。
子どもに泣かれて、困るのは術者自身である。
予防には、齲蝕や歯周病予防だけではない。
泣きの予防もりっぱな予防の一つなのである。
最近、ペットに服を着させているオーナーさんが多いのですが
診療の妨げになることが時々あります。
出来るだけ、待合室で脱がせておいてくださいね。