口呼吸と歯周病 | ナス動物病院

口呼吸と歯周病

カテゴリーwhatsnew役に立つ歯のお話

今回は口呼吸についてお話します。
「人間以外の哺乳動物は口呼吸をしません」とされていますが
ペットの歯周病にも関係があると思います。

人は鼻で空気を吸って鼻から吐くのが本来の呼吸法です。
なんらかの理由で鼻呼吸がしづらいために、
または習慣(クセ)により口で呼吸をすることを口呼吸といいます。
しゃべるという行為が口呼吸という呼吸を生み出したと考えられてます。

口呼吸が歯に良くないのは唾液に関係してきます。
口の中が乾燥し酸性度が下がる(Ph5.5?5.7以下)になると
歯の表面のエナメル質から
カルシウムやリンが溶け出し虫歯になりますます。
この状態を脱灰といいます。
しばらくすると今度は唾液の力で酸を中和する緩衝作用や
洗い流す浄化作用が行われ
唾液に含まれるカルシウムなどのミネラルが歯に沈着し脱灰部分が修復されます。
この状態を再石灰化と言います。

ヒトは一日、牛乳パックの半分以上、500?600mlもの唾液を分泌します。
唾液に含まれるアミラーゼ、マルターゼ、リパーゼなどの酵素が
消化を助け、血液中の血糖値の上昇を速め食べ過ぎを防止します。
ムロチンは粘り気を出し口の中の粘膜や舌の傷つきを防ぎます。
さらにリゾチーム、ラクトフェリンは細菌の増殖を防ぎ、
ペルオキシターゼはタバコのヤニや肉類コゲなどの発ガン性物質の
発ガン毒性を抑えます。

唾液は虫歯や歯周病を防ぐ大きな力なのですが
口呼吸をしていると、唾液が乾いてしまいます。
唾液の持つすぐれた働きを封じ込めてしまうのです。

リラックスした状態で食事すると、副交感神経が優位に働き、
サラサラの唾液が出ます。
イライラしたりドキドキして感情に起伏があると交感神経が働き
ネバネバになり量も減少し、食事も喉を通りにくくなるのです。

唾液量が多いほど発症予防作用を発揮する力が高まります。
体を守る判断力のない赤ちゃんがダラダラよだれを流しているのは
唾液のすばらしい力があるからなのでしょう。