食物繊維と歯 その1 | ナス動物病院
食物繊維と歯 その1
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
今回から、2回に分けて食物繊維と歯の関係について述べる。
太平洋戦争中、北太平洋のある島での出来事。アメリカ軍が上陸したとき、日
本の守備隊は森に隠れた。このとき、アメリカ軍は、どの位の日本兵がいるの
かわからなかった。
そこで、問題1。アメリカ軍は、日本兵の残していった“ある物”を元に、人
数を推定した。さて“ある物”とは、次のどれだろう?
1:飯盒(はんごう)
2:兵器
3:ウンチ
正解は、3のウンチの量から予測したどうしてウンチから予想できるのだろう?
アメリカ軍は、自分たちの量を基準にしたために、大きく予想がは
ずれてしまった。当時の日本人は、穀類を多量に食べていたのでウンチの量が多
く、約2倍の日本軍がいると予想したのだった。ウンチの量に関する“ウンチク”
は、もっとある。
昭和30年代。日本に団地ができた時、水洗式のトイレも初めて導入された。そ
の頃は、トイレの配水管がよく詰まり、団地内で汚物が溢れ出し苦情がでた。そ
う!これも、排水管の太さをアメリカの基準で決めていたからなのだこのように
ウンチの量は、食物繊維の量で決まる。食物繊維は“人間の消化酵素で分解され
ない食品中の成分”と定義されている。例えば、ヒトはセルロースを消化するこ
とができない。だから、カサを増やせ大腸を刺激することで便通を促し便秘の予
防となる。諺でも「固い食べ物は軟らかいウンチを、軟らかい食べ物は固いウン
チをつくる。」と言われる。
さて便秘は、“痔”になりやすくなる。ある肛門外科の先生によると、手術をす
る前に、食物繊維をたくさん食べるとウンチが軟らかくなり自然に治る可能性が
あるそうだ。しかし玄米など食物繊維を多く含むものは、硬くて食べにくいので、
口当たりの良い白米を食べるようになり、摂取量が減少しました。1日の目標値
は20gであるが、現在ではその70%くらいしか食べられていない。そこで、
日本では少なかった大腸がんが増加している。
さてかつての栄養問題は、栄養不足をどう解消するかが大問題であった。ところ
が現代では、過剰な栄養摂取による生活習慣病の予防が問題となっている。そこ
で、“食べカス”である食物繊維が見直されています。ここまでは、まるで栄養
学の話・・と思われるでしょう。
次回はこの続きで、食物繊維と歯の関係について述べたいと思う。
ペットにはあまり関係ない話題かもしれませんが、参考までに。