インフルエンザと鼻呼吸 | ナス動物病院

インフルエンザと鼻呼吸

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今回はお気に入りのコラムから。

   —— インフルエンザと鼻呼吸 ——岡崎 好秀
 
 今年もインフルエンザのシーズンである。
 インフルエンザの予防といえば、マスクがあげられる。

 ところでマスクの網の目を、トンネルの大きさにたとえると、インフル
 エンザウイルスは、アリの大きさにも満たない。
 ならばマスクは、本当に予防効果があるのだろうか?

 さてモンゴルは、零下40度まで達する寒さである。
 凍ったバナナで釘を打つことができる。
 ところが、この冷たい空気を鼻から吸っても、咽頭部では体温付近まで
 上昇するという。
 わずか10cmで、60度以上も空気温が上昇するのは、鼻腔内の毛細
 血管により加温されるためだ。
 ところで毛細血管には、もう一つの働きがある。
 それは乾燥した空気を加湿することだ。
 驚くなかれ、ヒトの鼻腔内からは1日約1リットルの水分が出ているという。

 そもそも肺でのガス交換は、湿度100%の状態で行われる。
 これは、魚類が水中でエラ呼吸をしていることを考えれば理解しやすい。
 肺は、乾燥に弱いのだ。
 加湿するメリットは、他にもある。
 インフルエンザウイルスは、湿気に弱いのだ。

 ウイルスは、20度・湿度30%の状態では、6時間後約50%のウイル
 スが活性を示す。しかし、湿度60%になると95%まで不活性化される。
 このことからマスクの予防効果は、呼気中の水分により得られることがわかる。
 ヒトは、マスクの代わりになるものを体に備えて入る。
 それは、鼻で呼吸することだ。
 一方、口で呼吸すると風邪を引きやすい。
 直接、口から空気が入ると体の防御機構が働かない。
 ヒトの体は、かくなる仕組みも持っている。

 念のため、ペットだけでなく、自分のワクチンも忘れずに!


061213