禁煙と歯科医療 | ナス動物病院

禁煙と歯科医療

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今回も私の好きなコラムから

   岡崎 好秀(岡山大学歯学部附属病院小児歯科 講師)

 全国的にも男性の80%が喫煙者だったが、50から60%にまで低下し
 ている。しかし一方、若い女性では数%であったものが10%台に増加している。

 さてタバコと口腔領域の疾患に関する報告は多い。
 タバコに含まれるニコチンの作用により、末梢血管が収縮し血液循環が
 悪くなり、歯周病に罹患しやすく治癒も難しい。
 また歯肉には、メラニンの沈着により黒ずむ。

 さらに、インプラントの成功率は、喫煙者では約10%低下するため、
 喫煙者にインプラント治療を行わないよう講習会では指導されている。

 このため禁煙指導をしてからインプラントの相談をすることが常識化し
 ている。子どもにおいては、またタバコの煙を、二次的に吸い込む副流
 煙により齲蝕が2倍になると言われている。
 そう考えれば、保護者には禁煙指導も必要である
 インドにおいては、噛みタバコのせいで、口腔ガンがもっとも多い。
 一般に、タバコの煙には一酸化炭素が含まれるが、この濃度は自動車
 の排気ガスに等しい。一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合するが、その力は二
 酸化炭素の約240倍である。
 したがって、体の表面では、常に酸素不足の状態となり、これが早期
 に老化現象が起こる原因となる。

 そう言えば、選手生命の長いプロ野球選手は、タバコを吸わないらしい。
 巨人の工藤投手しかり、桑田投手しかり、大リーグで活躍中のイチロー
 選手はもちろんである。
 ある週刊誌にヤンキースの松井選手が、某女優を喫煙者ということで交
 際を断ったと書かれていた。

 1日に20本程度の喫煙者では、非喫煙時でも一酸化炭素と結合した
 ヘモグロビンは3~6%であり、喫煙直後には10%を越えることも
 ある。

 ちなみに、富士山に継ぐ、日本の高峰である南アルプス剣岳の山頂での
 SpO2(動脈血酸素飽和度)は、91%となり、喫煙直後の値に匹敵する。
 標高0mと3,000mの酸素濃度の違いで、スポーツを行った場合、
 どちらが勝つかは明白である。
 選手生命の長いスポーツ選手が、禁煙する理由がよくわかる。

 喫煙者の飼っているペットで、この内容が当てはまるかは、まだ解りません。