身に迫る危険 | ナス動物病院

身に迫る危険

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今週は狂犬病について再認識しておきましょう。現状ではいつ再発生してもおかしくないというのが専門家の統一した意見です。(国立感染症研究所のページから)

◆狂犬病

 狂犬病は、狂犬病ウイルスを保有するイヌ、ネコおよびコウモリを含む野生動物に咬まれたり、引っ掻かれたりしてできた傷口からの侵入によって発症する人獣共通感染症です。

疫学

 世界保健機関(WHO)によると、全世界で毎年3万5000~5万人が狂犬病によって死亡しています。狂犬病はアジアでの発生が大部分で、アジア、アフリカでは狂犬病のイヌから多く感染しています。また、南米では、吸血コウモリによる家畜の狂犬病が経済的な被害を及ぼしています。
しかしながら、日本での狂犬病は1957年以降発生しておらず、この間、1970年にネパールで野犬にかまれ発症し死亡した症例があるのみでです。その最大の要因はイヌへのワクチン接種、および検疫制度によると同時に、わが国が島国であるということによります。世界のなかでは狂犬病が根絶された地域はオーストラリア、イギリス、台湾、ハワイ等と島国・地域に限られていました。しかしながらイギリスでは2002年に、1902年以降はじめて、イギリス国内でコウモリからウイルスによる死亡者が発生しました。オーストラリアのコウモリからも狂犬病に類似したウイルスによる2 名の患者が1996年に報告されまた。こうした狂犬病ウイルス以外のリッサウイルスが、アフリカ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、デンマーク、スウェーデン、ポーランド、ロシアと広く浸潤していることが分かってきています。

臨床症状

狂犬病は一度発症すれば、致死率はほぼ100%である。ヒトからヒトへの狂犬病の感染例は、狂犬病患者からの角膜移植を除いて報告されていません。

治療・予防

 海外、特に東南アジアで狂犬病が疑われるイヌ、ネコおよび野生動物にかまれたり、ひっかかれたりした場合、まず傷口を石鹸と水でよく洗い流し、医療機関を受診します。狂犬病は一旦発症すれば特異的治療法はないためできるだけ早期に、ワクチンと抗狂犬病ガンマグロブリンを投与する必要があります。日本では狂犬病が発生していないので、旅行等で海外に出かけてもその危険性を認識していない人が多く、イヌに不用意に近づきかまれる例 があとを絶たちません。むやみにイヌや野生動物に接触しないこと、現地の状況や活動範囲などから危険度を考慮して、必要があればワクチンをあらかじめ接種することです。予防用とし てのワクチン接種は4週間隔で2回行いますが、かなり痛いです。

鶏インフルエンザが紙面を飾った時の国内の反応を見ると、狂犬病が日本で発生した時のパニックは想像以上のものだと思います。とにかく中国地方だけには、発生して欲しくないですね。全てのイヌやネコに狂犬病ワクチンを接種するなんて、考えただけでもクラクラします。ましてや、狂犬病に一番感染しやすい職業ですから。