避妊・去勢手術についての質問

人工呼吸器と麻酔モニター

当院が導入している最新モニターは、安全に麻酔管理を行うために、

ペットに負担をかけることなく、手術中、

●炭酸ガス濃度(ETCO2)・麻酔ガス濃度
●脈波・動脈血酸素飽和度(SPO2)
●心電図(ECG)
●血圧(BP)
●体温(TEMP)

を常時観察します。

また、術中の測定値及び術後の心電図波形などをカードに保存することができますので、記録された時間の状態説明などを、オーナーへ伝えることができます。また写真には掲載していませんが、人工呼吸器も常時、併用し麻酔事故を無くすように努力しています。

手術を受けさせるとなると、具体的な流れはどうなるの?

手術が可能な健康状態かを調べるために健康診断をします。

そのときワクチン接種の有無や、病歴をお聞きします。

そして、手術の予約を入れていただきます。

手術の日は、麻酔をかけるため、朝食を与えないようにします。

オスは日帰りですが、麻酔の覚めが悪い場合は、一日お預かりします。

メスは開腹手術となるために一泊入院となります。

手術後一週間、お薬を飲ませて、抜糸します。

その間はいつも通りの生活でかまいません。

イヌやネコの性格は変わるの?

早期に去勢すると、競争的行動や性的攻撃行動は減ります。

つまり、イヌのマウンティングやネコのスプレーなどの行為を抑制できます。

また、放浪癖の抑制もできます。

しかし、根本的な性格はあまり変わらないため

性格に関連した問題行動の改善に関する過度な期待はやめましょう。

また、オスもメスも子どものままの性格が残り、家庭で飼いやすくなります。

手術すると、肥満になりやすいってホント?

確かに肥満になりやすい傾向があるようです。

活動性が低下することによる運動不足が原因かと思われます。

また、三大欲望(食欲・性欲・睡眠欲)のうち1つが無くなることで

残りの欲望が増大するといわれています。

肥満予防のために、減量用の食事に切り替えたりするなど、適切な運動と食事管理に気をつけましょう。

手術すると、病気予防になるってホント?

雌の場合、子宮の病気、乳腺腫瘍の予防になります。

雄の場合は、前立腺の病気、精巣・肛門周辺の腫瘍などの病気の予防になります。

また、5歳以上に多い、ホルモン性の高齢疾患の予防にも有効です。

さらに、性的ストレスから、解放されることにより、寿命が延びるともいわれています。

ネコの乳腺腫瘍の予防率との関係

猫は犬と違い乳腺腫瘍の90%以上が悪性のため早期の避妊手術が必要です。

生後6ヶ月齢以前が9%、7~12ヶ月齢では14%、2歳以前では84%と発生率が増加し

2歳を過ぎると避妊手術による乳腺腫瘍の予防はできないとされています。

避妊していない雌猫は、避妊している雌猫の7倍も乳腺腫瘍の発生率が高くなります。

また、去勢・避妊手術を受けた猫は、受けていない猫に比べると長生きする傾向があります。

イヌの乳腺腫瘍の予防率との関係

初回発情前の手術では99.5%、1回発情後92%、2回発情後74%

の乳腺腫瘍の発生を抑えることができます。

しかし、2歳半を超えると避妊手術による予防はできないとされています。

去勢・避妊手術を受けた犬は、手術を受けていない犬に比べると長生きする傾向があります。

発情期のストレスはなくなるの?

雌の場合は生理と発情期のストレスがなくなり、散歩時に雄が寄り付かなくなります。

雄の場合も散歩時に欲情して雌に近づかなくなり、マーキング行為も少なくなります。

また、猫の場合発情期の鳴き声が軽減されますが、

個体差により「発情期同様の行為が残る場合もある」ということは認識しておいてください。

効果は徐々にあらわれ、性的行動は約4週間で少なくなり、約6ヶ月で治まると言われています。

手術に危険はないの?

手術のリスクは他の手術と同じです。

全身麻酔での手術なので、麻酔薬に対するアレルギー反応の事故など

必ずリスクを伴います。

また、高齢になるほど手術の負担が大きくなるのは確かです。

そのためにも、術前に必ず血液検査を行い生体監視モニター、人工呼吸器を使用してリスクをゼロに近づけています。

また、雌の場合発情中の手術は、出血が多くなるので避けたほうがいいでしょう。

特に、イヌの雌の場合、生理が終わり、2ヶ月後に受けるといいでしょう。

いつ手術を受ければいいの?

現在アメリカでは生後6~14週令という早期での避妊と去勢が推奨されています。

日本では、避妊も・去勢も初回発情前の生後5~7ヶ月が目安となっています。

初回発情前に手術を行う理由は、乳腺腫瘍の発症を高い確率で予防できるからです。

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