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猫の歯周病

今回は老猫の歯周病の症例を紹介します。

この猫は15歳の日本猫で、以前から口を痛がると言うことで、来院されました。

高齢のため、内服薬で治療されていたそうです。

写真のように、臼歯に多量の歯石が付着し、咬み合せが上手くいかず、頬が炎症を起こしていました。

治療としては、抜歯後、炭酸ガスレーザーで蒸散して終了です。

麻酔のリスクはありますが、予後良好です。

 

予断ではありますが、オーナーさんから麻酔に対してリスクの質問を良く受けます。

当院での歯科症例は、高齢で全身状態の悪いペットが半数以上を占めます。

私の言う高齢とは、犬や猫で15歳以上、ウサギで6歳以上を示しています。

このペットたちの多くは、ホームドクターにおいて、麻酔が危険だと説明を受けているために

オーナーさんは麻酔=死と言う言葉に悩まされています。

このような説明を受けているために、手術をせずに、放置され悪化していきます。

決して麻酔は安全ではありません。

しかし、そのリスク以上に見合うだけの、健康、幸せ、笑顔が取り戻せるのであれば

手術を行うべきでは、ないでしょうか。

トケイソウ

 

歯周病に効果 トケイソウの有効成分が組織を再生

トケイソウ(別名パッションフラワー)に含まれる天然成分に、
歯周病によって破壊された歯の周りの組織を再生させる機能があることを、
中部大の禹済泰(ウゼテ)教授(天然物化学)と東京医科歯科大のグループが突き止めた。
歯周病は「国民病」とも呼ばれて患者が急増しているが、効果的な治療薬は少ないだけに、新薬の開発に期待がかかる。

禹教授は、骨粗しょう症の予防や症状改善に応用できる天然物質を研究。
植物からの抽出物を含む3000以上の天然化合物から、骨の形成を促すような物質を探したところ、トケイソウの花や葉に含まれる成分「ハルミン」が、骨のもとになる骨芽(こつが)細胞を増やす効果があることを見つけた。

利点はなんといっても、治療単価が大幅に下がることです。
ペットでの使用は、一般的ではありませんが現在、販売されている、同じような効果の治療薬と重量単価で1/75949ですから確かに安いです。

歯の矯正装置

Dr.オカザキのまるごと歯学           岡崎 好秀 

 

北京オリンピックが終了した。
今回もっとも活躍した選手の一人に,
男子100メートルで優勝したジャマイカのボルド選手がいる。
両手を広げ駆け抜けたタイムが9秒72。
人類史上最速タイムをたたき出したことは記憶に新しい。
 
また女子100メートルでも,ジャマイカ勢が独占した。
優勝したのは,ブレーザ選手。
ところが彼女を良く見ると歯の矯正装置が入っていた。
歯科医師の眼から見て,歯並びに問題が出る骨格ではなさそうなのに・・。
どうして歯の矯正をしたのだろうか?
矯正をすることで,それだけ成績がアップするものなのか? 
 
さて,ヒトの骨格は左右対称にできている。
どうしてだろう?
その理由を述べてみる。
広い公園でまっすぐに歩いてみる。
ところが,不思議なことに目を閉じて歩くと歩けない。
少し歩くと,いつの間にか左右に大きくずれているのだ。
目で目標物を捕らえているから,まっすぐに歩けることがわかる。
それでは,目を閉じるとどうして歩けないのか?
これは歯の噛み合わせが関係している。
 
例えば,目を閉じて顎を右側に寄せて歩く。
そうするといつのまにか,右に大きく傾いている。
反対の場合でも同様である。
だから歯や骨格は左右対称なのである。
そう言えば,水泳でも背泳の選手は天井のどこかを基準にして泳ぐ。
そうしないと,まっすぐ泳げないで曲がってしまうのだ。
 
話は戻って,ここで大胆な仮説をたててみた。
さて100m走で,第1歩が5度ずれてダッシュすると仮定する。
そうすると計算上では,100m40cm。
つまりその選手は,40cm余分に走らなければならない。
この調子で10度ずれると1.6m,30度では15.5mとなる。
計算は,三角関数のコサインの逆数を求めればよい。
 
さらに100mを10秒で走る選手であれば,5度ずれれば10秒04。
10度では10秒16,30度では11秒55もかかってしまう計算になる。
これでは試合に勝てない。
身体のバランスの悪さが,記録に影響することがわかる。
そこで噛みあわせを調整する必要がある。
 
これは試験勉強を考えればわかりやすい。
例えば平均60点を目指すのであれば,一夜漬けでも取れるだろう。
しかし平均70点を取ろうと思うと,日ごろからよく勉強する必要がある。
それでは常に80点をキープするにはどうだろう?
70点の数倍の勉強量が必要だ。
さらに90点以上では,どうだろう?  
1点アップするための努力は,生半可なものではない。
 
オリンピック競技では,常に人間の可能性の限界に挑戦する。
記録をアップさせるすべての要因を考え試合に臨む。
アメリカでは30年以上前から,
試合の前には歯の噛みあわせを調整していたと言う。
ジャマイカのブレーザ選手にとっても,
一つの可能性が歯の矯正だったに違いない。
 

納豆菌

生活習慣病で日本人の七割に症状があるとされる歯周病治療に天然抗菌物質の納豆菌が効果があることを、歯科医師の研究チームが明らかにした。
 
うがいで使った場合、治療用うがい薬に比べ三倍の効果があったという。
介護の現場では必要な口腔ケアに手が回らない現状があり、「大きな助けになるはず」としている。
 
七施設で四十-六十代の患者計五十四人を納豆菌と治療用うがい薬に分けて一カ月使ってもらい、歯周炎の改善効果を比較した。
 
研究リーダーで宇都宮市の螺良修一さん(42)によると、納豆菌でうがいをした場合、歯周病菌は一カ月で検出感度以下の状態まで減少したという。

そのうち、動物用の納豆健康食品が発売されるのでしょうか?

泣きの予防

Dr.オカザキのまるごと歯学           岡崎 好秀
 

小児の歯科診療において泣かれるとたい へんです。
患児だけがたいへんなのではなく、私達にとってもたいへんです。
私達まで泣きたくなります。

さて“予防”というと、まず“齲蝕予防”や“歯周病予防”を思い浮かべますが、“泣きの予防”も予防の一つです。
泣きの予防をすることは、診療を楽にするばかりではありまあせん。
信頼関係が築かれ、成人しても来院してくれる患者さんとなります。
さて齲蝕には“原因”があり、その“結果”として発症するのですから、

“処置”のみに目を向けたても、本質的な解決策につながりません。

同じように、泣きについても、その原因を探り整理し、

それぞれの対処法(予防)について考えておくことが重要です。

実際、一度泣き始めると、それを止めることは至難の業です。
だから、泣くか泣かないかギリギリの子を、“どのようにすれば泣かせないですませることができるか?”

を日頃から考えておく必要があります。
さて治療中、大泣きしている時に、こんな言葉がけをすれば、ピタリと泣きやむ魔法の言葉はありません。
泣いてからあわてるより、まず泣くか、泣かないかギリギリのレベルにいる患児を、

どうしたら泣かせずにすむか?という方法を考える方が得策です。
例えば、チェアー上で不用意にライトをつけ、まぶしければ驚いて泣く可能性があります。
だとすればライトは常にお腹に向けてつけ、その後に口の方を照らす習慣をつけます。
こうすると、泣かない可能性が増えます。それでも泣くかもしれません。
でも、このような工夫は1つ1点だとしたら10個あつまれば10点になります。

このようなポケットをたくさんつくることが大切です。
もっと具体的な例をあげてみましょう。

診療室に、今にも泣きそうな幼稚園児が、母親に抱きついて入ってきました。
それを無理に引き離そうとすると、ますます強く抱きつきます。
さらに力ずくで話そうとしたら、泣いて暴れて診療になりません。
ここで、どのようにしたら患児が自らチェアーに上がってくれるでしょうか?
ちょっと考えてみてください。

私は“今日は、まずお母さんに歯を磨いてもらおう!”と言います。
こうすると、患児は安心してチェアーに上がります。
同時に母親にはドクターの椅子に座って、磨いていただきます。

しばらく磨いていただいたら、“サア~ きれいになっているかどうか見せて!”と言って母親と交代します。
そして歯を磨きながら検診を行うのです。
このようにしたら、スムーズな診療が可能です。
これが泣きの予防なのです。
患児が、いつの間にかチェアーに上がってくれるように誘導するのです。

動物病院でも、いかにペットを安心させるか、は苦労するところです。
オヤツのご褒美で、喜んでくれる子もいるのですが。
やはりパピークラスに参加していただくことが一番、良い方法だと思います。

口腔内の汚れとコップの水の汚れ その2

Dr.オカザキのまるごと歯学           岡崎 好秀
 

前回、口腔内の汚れをコップの水に投影する方法について述べた。

この方法は、診療室での歯みがき指導でも応用できる。
いくら口をすっぱくして言っても磨いてこない子に対しての例を紹介する。

診療室入室時:
術 者「今日は、歯磨きだけにして終わろうか。」
子ども「ヤッタ~!!」

ここで透明コップを用いて歯みがきをさせる。
(但し、水を代えないので、水は濁る。)

水が濁った時点で:
術 者「今日は この水を飲んだら終わりにしょう!!」
子ども「エッー!飲めない!」
術 者「どうして水が飲めないの?」
子ども「汚いから…。」
術 者「なに!飲めない…。先ほどまで口にあったものじゃないか…。」
子ども「飲めん!」

術 者「早く飲んでくれないと 次の患者さんが待っているから…。」
と言って急がせる。

仕方がないので口元にコップを持っていくと・・:

術 者「でも、その水は汚れているから、おなかが痛くなるかもしれない」
と独り言。
子ども:ますます飲めなくなる。
術 者「そういえば!昨日来た子は、水が飲めなかったから、ここで
泊まっていったんだ。」

子どもが泣きそうになる:

ここで泣かせたらダメ! 間髪を入れず…

術 者「わかった!今日だけは特別許してあげる。今度きた時はもし水が
濁っていたら、飲むと約束しょう!このことは、カルテに書いて
おくから…」
子ども:ホッ!と安堵のため息。
術 者:声を出しながら「今度来た時に、もし濁っていたら、水を飲みます。
もし飲めなかったら、泊っていきます。」とカルテに書き、
サインをさせる。

以来この子は、きれいに磨いて来るようになりました。
こんな彼も、立派な社会人になりました。
今でも自分の健康保険証を持って、時々小児歯科を受診しています。

※念のために:この方法は、いくら言っても磨かない子に使うバージョンで、
神経質な子に対しては禁忌であることを申し添えておきま

口腔内の汚れとコップの水の汚れ その1

 Dr.オカザキのまるごと歯学           岡崎 好秀 
 

診療室では歯磨き指導の際、歯垢染色液を利用して汚れのチェックを行う。
しかし、家庭ではできない。
そこで染色液の代わりになる方法を紹介する。

まず、透明コップに水を1/3程度入れる。
そして歯磨き剤なしで、コップの水で歯ブラシを洗いながら歯を磨く。
こうすれば水が濁ってくる。
あまり水が濁るようであれば、捨ててまた新しい水を入れる。
これを繰り返し、濁らなくなったらきれいに磨けたと思えばよい。
そう!歯の汚れが、水の汚れに反映されるのだ。
家庭でも出来る簡単な方法である。

さてこれは、仕上げ磨きにも応用できる。
保護者が磨いた後、水を子どもに見せる。
そして「○○ちゃんのお口はこれだけ汚れていたのよ…。ばっちいね…。」
などと繰り返し言っておけば、保護者が磨いてくれる理由が理解できる。
これがわかれば、早くからすすんで磨く子どもになるだろう。
ところで、この濁った水を汚いと理解できるのは何歳くらいだろう?
そんなことを調べてみた。

まず子どもの歯を磨き、濁った水を見せ口に近づける。
そうすると2歳前半の子ども達は、なんと86%もが飲もうとした。
まだこの年齢では、濁った水が汚いことがわからないのだ。(不認知群)
これが2歳後半では44%に減り、顔をそむけるなど態度で示すものが20%、
“イヤ!”などの言葉で拒否する者が36%となる。
そして3歳前半以降、態度や言葉で拒否する者がほとんどとなる。
こんなことからおよそ3歳になったら、汚いことがわかるのだ。
濁った水を見せるだけで、子どもの発達レベルをうかがい知ることができる。

ペットはさておき、私も子供の歯磨きには、とても苦慮したいます。
定期的に歯科医院(お友達のパパ)へ、行くことを嫌がらないため
任せきっています。
歯を磨かない割には、虫歯は一本もなく,うらやましい限りです。
この状態が、いつまで保てるのでしょうか?

炭酸ガスレーザー 症例1

導入、の翌日
ネコの重度歯周病の全額抜歯を行ないました。

歯周病で半分の歯は、すでに抜け落ちていますが口を覗くと、歯石が山のように盛り上がり
その歯石と接する歯肉が炎症を起こして腫れていました。

抜歯後レーザーで、炎症部位を蒸散(悪い組織を蒸発させる)処置を終えました。

高齢にもかかわらず、麻酔の覚醒もよく、次の日には、ドライフードをパクパク食べていました。

炭酸ガスレーザーの特徴は

1.腫瘍の切除
2.軟組織の蒸散、止血、切開
3.メラニン色素の除去
4.軟組織疾患の鎮痛、消炎
5.う蝕部の蒸散、殺菌、消毒
6.象牙質知覚過敏症の誘発痛の緩和
などです。

処置後の痛みが少ないというのが、一番の利点です。
高齢でも、手術時間を短縮させ、麻酔のリスクを減らすことによって高齢でも安全に手術が出来ると思っています。

次の日は乳腺腫瘍の手術で使用しましたがやはり、翌日の腫れが非常に少ないです。

炭酸ガスレーザー

今回、炭酸ガスレーザーを購入しました。

レーザー治療の効果を簡単に説明すると
切開と止血が同時にでき、大きな腫瘍を摘出する際に
かなり手術時間を短縮することが可能です。

今までアプローチしにくかった口腔内の腫瘍などを
摘出できるなど応用範囲は測り知れないくらい大きいものです。
また体表面の小さなイボなどは局所麻酔下で数分で蒸散でき
メスに比べて、痛みや腫れも最小限で済みます。

それにより
従来、高齢で麻酔リスクが高いため、体表の腫瘤など
放置されることが多かったものが
炭酸ガスレーザーにより、無麻酔もしくは局所麻酔で
痛みを与えず、取り除くことが可能となりました。
ぜひご検討ください。

今後、レーザー治療による症例も紹介していきます。

重度の歯周病

昨日、手術した重度の歯周病の症例を紹介します。

10歳のダックスフンド
眼下の腫れで来院しました。
オーナーさんの治療への理解も高く、完治を目的として検査の結果、後臼歯の根尖膿瘍が原因でした。

この症例は、重度の歯周病があり、片側の犬歯は
脱落し、ロウ間になっていました。
レントゲン検査の結果から判断し
全額抜歯を行ないました。
口腔内からの出血も多く、終了までに3時間を要しました。
処置後、の写真です。

犬の全額抜歯は猫と比べて、大幅に時間がかかります。
特に慢性経過の症例は、容易に出血が起こり、苦慮します。

歯周病は待っていても、治りません。
歯石除去と歯周病の治療は全く違います。
歯石除去前に必ずレントゲンを撮って、評価してください。
その評価ナシに、歯石除去を行なっても
何の意味もありませんからね。

自分では、10分から30分程度で終わる歯石除去は
しない方がいいと思っています。

ちなみに、この子は翌日の朝から
ドライフードを食べていました。
回復の早さには、いつもびっくりします。

愛犬の歯みがき、定期的に行っているのは なんと3割!

某損害保険株式会社が、6月4日の「虫歯予防デー」にちなんで、
歯みがきに関するアンケート調査を行ったところ、
「定期的に歯みがきを行っている」犬の飼い主は、
全体の31.6%であることがわかりました。

動物病院へのアンケートでは、8割を超える獣医師が
歯みがきを行う理想的なペースとして「毎日」を挙げているのに比較すると
歯みがきを「あまり行っていない」飼い主が6割を超える
今回の結果は、理想と現実の間に
かなりのギャップが存在していることを示しています。

犬の口中は、人間よりもアルカリ性が強く、
歯垢がつきやすいため、歯周病にかかりやすいといわれています。
歯周病を予防するためには、こまめな歯みがきが欠かせませんが、
半数を超える飼い主が「愛犬は歯みがきが嫌い」と答えています。
「好き」と答えた飼い主に共通している方法は、
「手早く行う」「無理やり行わない」ということでした。
これを参考にまずは口の周りを触っても嫌がらないようにする
歯みがきジェル、ガーゼなどを上手に利用するなどして
ひとりでも多くの飼い主に愛犬の歯みがき嫌いを克服してほしいものです。

という内容です。

当院には歯科治療を行なうために、遠方より来院されます。
他の動物病院と比較し、歯の重要性に関心の深いオーナーさんが
多いと思われますが、それでも歯磨きを毎日されている
オーナーさんは2割を割ります。
それだけ毎日のブラッシングはとても大変なことです。
言い換えれば、この2割のオーナーさんは
尊敬に値すると思います。

毎日ではなくても、諦めずに、時にはしてください。
多くのペットは歯ブラシを受け入れません。
それが現実です。
頑張る必要はありません。
気楽に考えましょう。

ハイハイと乳前歯の外傷

 

 Dr.オカザキのまるごと歯学           岡崎 好秀 
 
 転んで乳前歯を打ち陥入や脱臼などの外傷は、
 ヨチヨチ歩きを始めた1~2歳児に多い。
 まだ十分、体のバランス機能が育っていないためだろう。
 不思議なことに、同じ子どもが転倒を繰り返し、歯科医院を訪れる。
 さて、前歯の外傷が多発する理由として、転んでもとっさに手が出ないことが
 あげられる。
 しかし、年配の養護教諭は「昔の子ども達は転んだら絶対手が出ていた。」と
 口をそろえて言われる。
 「転んで手が出ないのは、ハイハイが少なくなったため」という説もある。

 それでは、ハイハイが少ないとどうして手が出ないのだろうか?
 こんなことを考えると、小児歯科を志すものとして楽しくなる。
 さて最近、生活の欧米化とともは机やイスが増えたため、つかまり立ちを早く
 するようになったと言われる。
 一方、かつての日本家屋は、畳の生活が中心で、つかまるものがなかったから
 ハイハイが多かった。

 そこでハイハイとつかまり立ちの関係について調べていたら、
 面白いことに気がついた。
 さて読者の方は、「ハイハイ」と「つかまり立ち」では、どちらが先だと思わ
 れるだろうか?
 当然のごとく「ハイハイ!」と答えられると思う。
 ところが・・・だ。
 海外の文献を見ていると、「つかまり立ち」の方が先なのである。
 まさに生活習慣の差が、子どもの発達に影響していることがわかる。
 さて、話は戻る。

 ハイハイが多いと、手が出る理由。
 ハイハイは、顔を前に向け頭を出しながら、手が床についている姿勢である。
 すなわち頭部が、不安定な位置にあるときには、手が前に出ていることがわか
 る。乳児期にハイハイを行う中で、自然にこのような反射が脳に構築されるの
 だろう。だから転ぶ際、頭部の位置が不安定となったとき、瞬間的に手が出て
 顎・顔面が防御される。

 でも、ハイハイの時代は、もう卒業したから、いまさら・・と思われるだろう。
 大丈夫。
 家庭で“おウマさんごっこ”をして遊べばよい。
 これで新たな反射を作り出す。
 とりあえず、ツバを指につけ眉に当てながら、よく転ぶ子どもの保護者に話し
 ていただきたい。

 
 

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