役に立つ歯のお話
ヒトはどこまで雑食なのか?
今回は、私の好きなブログから紹介します。
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀 先生
ヒトの歯は、2種類に分けられる。
前歯と臼歯である。
前歯は獲物を捕えるための歯であり、魚類や爬虫類でも存在する。
一方、臼歯は咀嚼するための歯であり、哺乳類において初めて獲得した。
さらに、臼歯も2種類に分けられる。
前臼歯(小臼歯)と後臼歯(大臼歯)である。
一般に、肉食動物は前臼歯が発達している。
鋭い歯で、骨まで噛み砕く。
後臼歯は使わないので退化傾向にある。
逆に草食動物は、草をすり潰すため咬合面が広く平らになる。
さてヒトは、鋭い肉食動物と平らな草食動物の歯を重ね持つ。
だから雑食動物である。
それではヒトは、どこまで雑食なのか?
生物の系統から考えてみたい。
さて生物は、大きく動物界、植物界、菌界の3つに分けられる。
まず動物界の脊椎動物。
これは魚類、両生類、爬虫類、哺乳類に代表される。
哺乳類ではウシやブタ、あるいは魚類のタイやヒラメは日常的に食べる。
鳥類ではニワトリが代表格である。
両生類といえば、食用カエルを食べる。
爬虫類では、スッポン料理が有名だ。
ワニは、高蛋白・低カロリーで鶏肉の歯ざわりに似ていると言う。
しゃぶしゃぶもあるし、串焼きもある。
またワニ料理は、キューバの名物料理である。
次に無脊椎動物。
まず節足動物の昆虫。
昆虫食はゲテモノ食いと思われるが、霊長類は昆虫食からスタートした。
長野県では、バッタやイナゴ、それにハチの子を食べる。
ハチの子と聞けば気持ち悪いが、ハチミツだって立派なハチである。
さらに海に住む甲殻類のエビやカニ。
それに軟体動物のタコやイカは、寿司ネタに欠かせない。
さらに、おの足類のシジミやアサリ。
これは味噌汁の具となるので重要だ。
次は、植物界。
種子植物では、キャベツやホウレンソウ。
これは葉を食べる。
ニンジンやゴボウ、ダイコンは根である。
ジャガイモ、タケノコ・セロリとくれば茎であり、バナナ、トマト、カボチャ
は実である。
さらにイネ、トウモロコシ、ギンナンは種である。
シダ植物では、ワラビにゼンマイ。
これは佃煮やお浸しになる。
緑藻類では青ノリ、褐藻類はコンブやワカメと続く。
最後に菌界。
まず高価なマツタケ。
それにシイタケやシメジもある。
これ位か・・・。
おっと!
酵母菌もあるではないか。
ビールの醸造には欠かせないし、パンを作るにも必要だ。
そう言えばチーズやヨーグルトの乳製品。
これは乳酸菌。
納豆も醤油も味噌も、酵母や麹(こうじ)や細菌を利用する。
発酵食品は、これらの力を利用して作り出す。
こりゃ雑食動物どころではない、まさにヒトは、生物界すべてを食べつくす
“完食動物”だったのだ。
サルが最初に食べるのは?
今回は、私の好きなブログから紹介します。
□Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀 先生
「サルの目の前でスイカを割って与えると、どこから食べるだろうか?」
人間と同じように赤い実か?
サルは木の葉や樹皮を食べるから皮なのか?
それとも硬い種から食べるのか?
どれが正解だろう?
この問題。
食育にまつわる講演会で話すと、誰もが興味を持って聞き入る。
正解は「種」である。
サルは、まず指で種をほじくって食べる。
種がなくなった後、赤い実にかぶりつく。
実はこの話を知ったのは、24年前。
「人間はなぜ歯を磨くか」(石川 純著 医歯薬出版)に書かれていた。
その時、これは本当の話なのか確かめたいと思った。
以来20年間。
獣医師、生物学者、そして動物園の関係者に会うたびに質問してきた。
その結果。
「わからない。」
「見たことがない。」
「試したことがない。」
という回答ばかりで確信を得ることができなかった。
やっと昨年、始めて「ズバリ!種です。」と答えられた方に出会った。
北海道 旭山動物園の元名誉園長 小菅正夫氏である。
さすが旭山動物園を世界一の動物園に仕立てた先生だ。
その理由。
「一番栄養があるためです。」
なるほど!
スイカの種を考えるから、わからなかったのだ。
考えてみれば、我々は多くの種を食べている。
米、トウモロコシ、栗、大豆。
すべて種である。
大豆を原料としたものには、味噌、醤油、それに豆腐がある。
豆腐となれば、厚揚げも湯葉も元は種だ。
種は、命をつなぐものであるから栄養が豊富なのは当然なのである。
ところで日本では、種なしスイカを作る研究が行われている。
種を選り分けながら食べるのは面倒なためだ。
しかし、中国では種を大きくする研究が盛んという。
中国では、スイカの種を炒ったものを歯で割って食べる。
おやつとして食べるのだ。
そのため中国人は、前歯の先がくぼんでいる方が多い。
同じ種でも、国が代われば扱いが異なることがわかる。
トケイソウ
歯周病に効果 トケイソウの有効成分が組織を再生
トケイソウ(別名パッションフラワー)に含まれる天然成分に、
歯周病によって破壊された歯の周りの組織を再生させる機能があることを、
中部大の禹済泰(ウゼテ)教授(天然物化学)と東京医科歯科大のグループが突き止めた。
歯周病は「国民病」とも呼ばれて患者が急増しているが、効果的な治療薬は少ないだけに、新薬の開発に期待がかかる。禹教授は、骨粗しょう症の予防や症状改善に応用できる天然物質を研究。
植物からの抽出物を含む3000以上の天然化合物から、骨の形成を促すような物質を探したところ、トケイソウの花や葉に含まれる成分「ハルミン」が、骨のもとになる骨芽(こつが)細胞を増やす効果があることを見つけた。
利点はなんといっても、治療単価が大幅に下がることです。
ペットでの使用は、一般的ではありませんが現在、販売されている、同じような効果の治療薬と重量単価で1/75949ですから確かに安いです。
歯の矯正装置
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
北京オリンピックが終了した。
今回もっとも活躍した選手の一人に,
男子100メートルで優勝したジャマイカのボルド選手がいる。
両手を広げ駆け抜けたタイムが9秒72。
人類史上最速タイムをたたき出したことは記憶に新しい。
また女子100メートルでも,ジャマイカ勢が独占した。
優勝したのは,ブレーザ選手。
ところが彼女を良く見ると歯の矯正装置が入っていた。
歯科医師の眼から見て,歯並びに問題が出る骨格ではなさそうなのに・・。
どうして歯の矯正をしたのだろうか?
矯正をすることで,それだけ成績がアップするものなのか?
さて,ヒトの骨格は左右対称にできている。
どうしてだろう?
その理由を述べてみる。
広い公園でまっすぐに歩いてみる。
ところが,不思議なことに目を閉じて歩くと歩けない。
少し歩くと,いつの間にか左右に大きくずれているのだ。
目で目標物を捕らえているから,まっすぐに歩けることがわかる。
それでは,目を閉じるとどうして歩けないのか?
これは歯の噛み合わせが関係している。
例えば,目を閉じて顎を右側に寄せて歩く。
そうするといつのまにか,右に大きく傾いている。
反対の場合でも同様である。
だから歯や骨格は左右対称なのである。
そう言えば,水泳でも背泳の選手は天井のどこかを基準にして泳ぐ。
そうしないと,まっすぐ泳げないで曲がってしまうのだ。
話は戻って,ここで大胆な仮説をたててみた。
さて100m走で,第1歩が5度ずれてダッシュすると仮定する。
そうすると計算上では,100m40cm。
つまりその選手は,40cm余分に走らなければならない。
この調子で10度ずれると1.6m,30度では15.5mとなる。
計算は,三角関数のコサインの逆数を求めればよい。
さらに100mを10秒で走る選手であれば,5度ずれれば10秒04。
10度では10秒16,30度では11秒55もかかってしまう計算になる。
これでは試合に勝てない。
身体のバランスの悪さが,記録に影響することがわかる。
そこで噛みあわせを調整する必要がある。
これは試験勉強を考えればわかりやすい。
例えば平均60点を目指すのであれば,一夜漬けでも取れるだろう。
しかし平均70点を取ろうと思うと,日ごろからよく勉強する必要がある。
それでは常に80点をキープするにはどうだろう?
70点の数倍の勉強量が必要だ。
さらに90点以上では,どうだろう?
1点アップするための努力は,生半可なものではない。
オリンピック競技では,常に人間の可能性の限界に挑戦する。
記録をアップさせるすべての要因を考え試合に臨む。
アメリカでは30年以上前から,
試合の前には歯の噛みあわせを調整していたと言う。
ジャマイカのブレーザ選手にとっても,
一つの可能性が歯の矯正だったに違いない。
納豆菌
生活習慣病で日本人の七割に症状があるとされる歯周病治療に天然抗菌物質の納豆菌が効果があることを、歯科医師の研究チームが明らかにした。
うがいで使った場合、治療用うがい薬に比べ三倍の効果があったという。
介護の現場では必要な口腔ケアに手が回らない現状があり、「大きな助けになるはず」としている。
七施設で四十-六十代の患者計五十四人を納豆菌と治療用うがい薬に分けて一カ月使ってもらい、歯周炎の改善効果を比較した。
研究リーダーで宇都宮市の螺良修一さん(42)によると、納豆菌でうがいをした場合、歯周病菌は一カ月で検出感度以下の状態まで減少したという。
そのうち、動物用の納豆健康食品が発売されるのでしょうか?
泣きの予防
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
小児の歯科診療において泣かれるとたい へんです。
患児だけがたいへんなのではなく、私達にとってもたいへんです。
私達まで泣きたくなります。
さて“予防”というと、まず“齲蝕予防”や“歯周病予防”を思い浮かべますが、“泣きの予防”も予防の一つです。
泣きの予防をすることは、診療を楽にするばかりではありまあせん。
信頼関係が築かれ、成人しても来院してくれる患者さんとなります。
さて齲蝕には“原因”があり、その“結果”として発症するのですから、
“処置”のみに目を向けたても、本質的な解決策につながりません。
同じように、泣きについても、その原因を探り整理し、
それぞれの対処法(予防)について考えておくことが重要です。
実際、一度泣き始めると、それを止めることは至難の業です。
だから、泣くか泣かないかギリギリの子を、“どのようにすれば泣かせないですませることができるか?”
を日頃から考えておく必要があります。
さて治療中、大泣きしている時に、こんな言葉がけをすれば、ピタリと泣きやむ魔法の言葉はありません。
泣いてからあわてるより、まず泣くか、泣かないかギリギリのレベルにいる患児を、
どうしたら泣かせずにすむか?という方法を考える方が得策です。
例えば、チェアー上で不用意にライトをつけ、まぶしければ驚いて泣く可能性があります。
だとすればライトは常にお腹に向けてつけ、その後に口の方を照らす習慣をつけます。
こうすると、泣かない可能性が増えます。それでも泣くかもしれません。
でも、このような工夫は1つ1点だとしたら10個あつまれば10点になります。
このようなポケットをたくさんつくることが大切です。
もっと具体的な例をあげてみましょう。
診療室に、今にも泣きそうな幼稚園児が、母親に抱きついて入ってきました。
それを無理に引き離そうとすると、ますます強く抱きつきます。
さらに力ずくで話そうとしたら、泣いて暴れて診療になりません。
ここで、どのようにしたら患児が自らチェアーに上がってくれるでしょうか?
ちょっと考えてみてください。
私は“今日は、まずお母さんに歯を磨いてもらおう!”と言います。
こうすると、患児は安心してチェアーに上がります。
同時に母親にはドクターの椅子に座って、磨いていただきます。
しばらく磨いていただいたら、“サア~ きれいになっているかどうか見せて!”と言って母親と交代します。
そして歯を磨きながら検診を行うのです。
このようにしたら、スムーズな診療が可能です。
これが泣きの予防なのです。
患児が、いつの間にかチェアーに上がってくれるように誘導するのです。
動物病院でも、いかにペットを安心させるか、は苦労するところです。
オヤツのご褒美で、喜んでくれる子もいるのですが。
やはりパピークラスに参加していただくことが一番、良い方法だと思います。
口腔内の汚れとコップの水の汚れ その2
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
前回、口腔内の汚れをコップの水に投影する方法について述べた。
この方法は、診療室での歯みがき指導でも応用できる。
いくら口をすっぱくして言っても磨いてこない子に対しての例を紹介する。
診療室入室時:
術 者「今日は、歯磨きだけにして終わろうか。」
子ども「ヤッタ~!!」
ここで透明コップを用いて歯みがきをさせる。
(但し、水を代えないので、水は濁る。)
水が濁った時点で:
術 者「今日は この水を飲んだら終わりにしょう!!」
子ども「エッー!飲めない!」
術 者「どうして水が飲めないの?」
子ども「汚いから…。」
術 者「なに!飲めない…。先ほどまで口にあったものじゃないか…。」
子ども「飲めん!」
術 者「早く飲んでくれないと 次の患者さんが待っているから…。」
と言って急がせる。
仕方がないので口元にコップを持っていくと・・:
術 者「でも、その水は汚れているから、おなかが痛くなるかもしれない」
と独り言。
子ども:ますます飲めなくなる。
術 者「そういえば!昨日来た子は、水が飲めなかったから、ここで
泊まっていったんだ。」
子どもが泣きそうになる:
ここで泣かせたらダメ! 間髪を入れず…
術 者「わかった!今日だけは特別許してあげる。今度きた時はもし水が
濁っていたら、飲むと約束しょう!このことは、カルテに書いて
おくから…」
子ども:ホッ!と安堵のため息。
術 者:声を出しながら「今度来た時に、もし濁っていたら、水を飲みます。
もし飲めなかったら、泊っていきます。」とカルテに書き、
サインをさせる。
以来この子は、きれいに磨いて来るようになりました。
こんな彼も、立派な社会人になりました。
今でも自分の健康保険証を持って、時々小児歯科を受診しています。
※念のために:この方法は、いくら言っても磨かない子に使うバージョンで、
神経質な子に対しては禁忌であることを申し添えておきます
口腔内の汚れとコップの水の汚れ その1
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
診療室では歯磨き指導の際、歯垢染色液を利用して汚れのチェックを行う。
しかし、家庭ではできない。
そこで染色液の代わりになる方法を紹介する。
まず、透明コップに水を1/3程度入れる。
そして歯磨き剤なしで、コップの水で歯ブラシを洗いながら歯を磨く。
こうすれば水が濁ってくる。
あまり水が濁るようであれば、捨ててまた新しい水を入れる。
これを繰り返し、濁らなくなったらきれいに磨けたと思えばよい。
そう!歯の汚れが、水の汚れに反映されるのだ。
家庭でも出来る簡単な方法である。
さてこれは、仕上げ磨きにも応用できる。
保護者が磨いた後、水を子どもに見せる。
そして「○○ちゃんのお口はこれだけ汚れていたのよ…。ばっちいね…。」
などと繰り返し言っておけば、保護者が磨いてくれる理由が理解できる。
これがわかれば、早くからすすんで磨く子どもになるだろう。
ところで、この濁った水を汚いと理解できるのは何歳くらいだろう?
そんなことを調べてみた。
まず子どもの歯を磨き、濁った水を見せ口に近づける。
そうすると2歳前半の子ども達は、なんと86%もが飲もうとした。
まだこの年齢では、濁った水が汚いことがわからないのだ。(不認知群)
これが2歳後半では44%に減り、顔をそむけるなど態度で示すものが20%、
“イヤ!”などの言葉で拒否する者が36%となる。
そして3歳前半以降、態度や言葉で拒否する者がほとんどとなる。
こんなことからおよそ3歳になったら、汚いことがわかるのだ。
濁った水を見せるだけで、子どもの発達レベルをうかがい知ることができる。
ペットはさておき、私も子供の歯磨きには、とても苦慮したいます。
定期的に歯科医院(お友達のパパ)へ、行くことを嫌がらないため
任せきっています。
歯を磨かない割には、虫歯は一本もなく,うらやましい限りです。
この状態が、いつまで保てるのでしょうか?
愛犬の歯みがき、定期的に行っているのは なんと3割!
某損害保険株式会社が、6月4日の「虫歯予防デー」にちなんで、
歯みがきに関するアンケート調査を行ったところ、
「定期的に歯みがきを行っている」犬の飼い主は、
全体の31.6%であることがわかりました。
動物病院へのアンケートでは、8割を超える獣医師が
歯みがきを行う理想的なペースとして「毎日」を挙げているのに比較すると
歯みがきを「あまり行っていない」飼い主が6割を超える
今回の結果は、理想と現実の間に
かなりのギャップが存在していることを示しています。
犬の口中は、人間よりもアルカリ性が強く、
歯垢がつきやすいため、歯周病にかかりやすいといわれています。
歯周病を予防するためには、こまめな歯みがきが欠かせませんが、
半数を超える飼い主が「愛犬は歯みがきが嫌い」と答えています。
「好き」と答えた飼い主に共通している方法は、
「手早く行う」「無理やり行わない」ということでした。
これを参考にまずは口の周りを触っても嫌がらないようにする
歯みがきジェル、ガーゼなどを上手に利用するなどして
ひとりでも多くの飼い主に愛犬の歯みがき嫌いを克服してほしいものです。
という内容です。
当院には歯科治療を行なうために、遠方より来院されます。
他の動物病院と比較し、歯の重要性に関心の深いオーナーさんが
多いと思われますが、それでも歯磨きを毎日されている
オーナーさんは2割を割ります。
それだけ毎日のブラッシングはとても大変なことです。
言い換えれば、この2割のオーナーさんは
尊敬に値すると思います。
毎日ではなくても、諦めずに、時にはしてください。
多くのペットは歯ブラシを受け入れません。
それが現実です。
頑張る必要はありません。
気楽に考えましょう。
ハイハイと乳前歯の外傷
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
転んで乳前歯を打ち陥入や脱臼などの外傷は、
ヨチヨチ歩きを始めた1~2歳児に多い。
まだ十分、体のバランス機能が育っていないためだろう。
不思議なことに、同じ子どもが転倒を繰り返し、歯科医院を訪れる。
さて、前歯の外傷が多発する理由として、転んでもとっさに手が出ないことが
あげられる。
しかし、年配の養護教諭は「昔の子ども達は転んだら絶対手が出ていた。」と
口をそろえて言われる。
「転んで手が出ないのは、ハイハイが少なくなったため」という説もある。
それでは、ハイハイが少ないとどうして手が出ないのだろうか?
こんなことを考えると、小児歯科を志すものとして楽しくなる。
さて最近、生活の欧米化とともは机やイスが増えたため、つかまり立ちを早く
するようになったと言われる。
一方、かつての日本家屋は、畳の生活が中心で、つかまるものがなかったから
ハイハイが多かった。
そこでハイハイとつかまり立ちの関係について調べていたら、
面白いことに気がついた。
さて読者の方は、「ハイハイ」と「つかまり立ち」では、どちらが先だと思わ
れるだろうか?
当然のごとく「ハイハイ!」と答えられると思う。
ところが・・・だ。
海外の文献を見ていると、「つかまり立ち」の方が先なのである。
まさに生活習慣の差が、子どもの発達に影響していることがわかる。
さて、話は戻る。
ハイハイが多いと、手が出る理由。
ハイハイは、顔を前に向け頭を出しながら、手が床についている姿勢である。
すなわち頭部が、不安定な位置にあるときには、手が前に出ていることがわか
る。乳児期にハイハイを行う中で、自然にこのような反射が脳に構築されるの
だろう。だから転ぶ際、頭部の位置が不安定となったとき、瞬間的に手が出て
顎・顔面が防御される。
でも、ハイハイの時代は、もう卒業したから、いまさら・・と思われるだろう。
大丈夫。
家庭で“おウマさんごっこ”をして遊べばよい。
これで新たな反射を作り出す。
とりあえず、ツバを指につけ眉に当てながら、よく転ぶ子どもの保護者に話し
ていただきたい。
ヤツメウナギ
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
“ヤツメウナギ”と言っても、ウナギの仲間ではない。
目のうしろに7つのエラ穴があり、目が合計8つあるように見えるので
こう名づけられた。
ヤツメウナギは脊椎動物で最も原始的な種類のひとつで無顎類に属し,
顎関節がなく,円形の口がいつも開いている。
アゴのない魚”として有名である。
口の周囲と舌の上には角質化した歯(角質歯 )があり
これで魚に吸着し,体表に孔を開け,血液を吸い栄養を採取する。
写真はヤツメウナギの口を正面から見た像です。
アゴがないことは、下等な動物を意味している。事実、これより上の脊椎動物
は、すべてアゴを持っている。アゴのある・なしで、さまざまな差がもたらさ
れる。例えば、免疫能。そこでアゴと免疫の進化について述べる。
まずヒトの体は表皮や粘液により、細菌やウイルスから守られている。これは、
物理的な防御作用であり第1のバリアーと言える。これを突破されても、細菌
に対してはリゾチームやマクロファージ、そしてウイルスにはNK細胞が控え
ている。これが第2のバリアー“自然免疫”である。次には、抗原提示細胞や
T細胞、それにB細胞により抗体を作り、それぞれの細菌やウイルスを特異的
に見分け反応し撃退する。さらには、その抗原を記憶し、新たな進入に対して
すばやく・強く反応する。これこそ第3のバリアー“獲得免疫”である。
自然免疫は、生まれたときより体に備わり、広く浅く反応するのが特徴である。
一方、獲得免疫は、生後に得ることで狭く深く効果的に反応する。
さて、ヤツメウナギは“自然免疫”しか持たない。すなわち、抗体を作ること
ができないのだ。しかし、それより上の脊椎動物は、抗体を作ることができる。
この差こそ、進化におけるアゴの獲得と関係が深い。アゴがなければ、限られ
たものしか食べられない。しかしアゴを得れば、歯で獲物に咬みつき、引きち
ぎり食べることができる。そうすると、さまざまな種類の食物を摂取する。栄
養効率は、良くなるだろうが、さまざまな抗原も進入するだろう。そこで、免
疫系が高度化するのである。ヒトは、アゴを獲得し食性が多様化することで免
疫系を進化させてきたことがわかる。
獣医学生は解剖実習のあとに焼肉なんて普通だったのに
ウナギを食べて、食あたりして以来、この系統のものを
体が受け付けません。
ちなみに、なぜかアナゴは大丈夫です。(笑)
なるほど
Dr.オカザキのまるごと歯学 岡崎 好秀
寒い日が続いている。
この季節、ちょっとしたことで泣く子が増える。
なかでも一番、泣きにつながりやすい服装がある。
それは、“つなぎの服”である。
続けて、“タ-トルネックのセーター”。
それに“モコモコのジャンバー”
筆者は、この三つがそろった服装を“泣きの服装3点セット”と呼んでいる。
これだけそろうと100%どころか、200%泣かれると思っている。
それでは、どうして“つなぎの服”はよく泣くのだろうか?
さてあなたの今の呼吸。
ゆっくりした規則的で深い呼吸である。
それでは泣きの呼吸はどうだろう?
そう!速くて不規則で浅い呼吸となる。
さて患者さんは、治療時に術者の動きに応じ呼吸を調整している。
口の中を触られている時には、瞬時に息を吸ったり、止めたりしているのだ。
さて、“つなぎの服”を着て、チエアー上で寝ころぶと、
肩ヒモにより胸が締められ呼吸が浅くなる。
そのぶん息を止める時間が短くなり、苦しくて泣き出す確率が高くなる。
ちなみに、通常1回500ccの空気を吸うと、
肺の中に届く有効な空気は350cc程度となる。
ところが速い呼吸では、1回に吸う量が200cc程度まで減ってしまうのだ。
“タートルネック”も首をしめるので呼吸が浅くなりやすい。
また“モコモコのジャンバー”は、室内では暑くなり、
体温の上昇や心拍数の増加につながる。
このことも呼吸に影響する。
だから歯科診療中には、深い呼吸に誘導する配慮が必要だ。
“ジャンバー”は診療前に脱がすようにし、“タートルネック”や
“つなぎの服”は控えるように伝えておく必要がある。
子どもに泣かれて、困るのは術者自身である。
予防には、齲蝕や歯周病予防だけではない。
泣きの予防もりっぱな予防の一つなのである。
最近、ペットに服を着させているオーナーさんが多いのですが
診療の妨げになることが時々あります。
出来るだけ、待合室で脱がせておいてくださいね。

