症例

歯の修復

今回は歯の修復に関係した症例を紹介します。
この症例は、歯石除去と乳歯抜歯のために来院されましたが
検査の結果、上顎第4全臼歯の破折が見つかりました。
破折の時期がわからないので、レントゲンで精査し、可能であれば保存を希望されました。
 

そのときの画像です。
2枚目の画像は、破折部位を取り除いた後の様子ですが、

表面には多量の歯石が付着していました。

ということは、かなり前に破折が起こったということになります。  
 
 


 


 

このような場合、処置方法としては

①抜髄後に修復する。

②抜歯する。
の選択となります。

 

人では相当な理由(重度の歯周病など)が無い限り、当然のように抜髄して修復を行いますが

ペットの場合、経済的、技術的な面を考えて、当たり前のように抜歯になります。

特に臼歯の抜髄は、歯科臨床の中でも、とても難しい処置になります。

全国でも対応できる病院は非常に少ないと思います。
 

今回は犬の年齢が若いこと、経済的な余裕のあるオーナーさんでしたので

抜髄後、修復を行いました。

次の写真は、表面の歯石を取った様子です。

出血が確認され、露髄していることが確認されました。
  


 

次は、処置前の確認のレントゲンです。

歯周病巣は確認できず、保存可能と判断しました。
 


 

修復後の写真です。
 


 

今後は定期的なレントゲンでの確認が必要になります。

歯の発育障害

最近、よく見かけるのが歯の発育障害です。
人間のように、笑顔を気にする必要がないので
歯の本数が、多くても少なくてもさほど問題にはなりませんが
場合によっては、処置の必要性があります。
 
今回、紹介するのは犬歯の埋没。
現状では何の問題もありません。
 


 


 


 

レントゲン検査では立派な犬歯が確認できます。
最近では超小型犬種が人気を集めています。
体は小型化していても、歯の大きさは、それに伴っていません。
その辺のギャップが、このような障害を生み出しているのでしょうね。

その辺は、小顔の子供が増えた現代社会と同じですね。

今後の経過観察が必要です。

猫の口内炎

今回は現在、治療中の猫の口内炎の症例を紹介したいと思います。
 

年齢は10歳、エイズウイルスが陽性

過去、数年間、口内炎に悩まされ、主治医にてステロイドを中心とした

内科療法を行われていたようです。

最近ではステロイドの効果が薄れてきたということで、抜歯を検討されていました。

オーナーさんは、病気への理解度が高く、全臼歯抜歯を行なうことになりました。
 

写真は術前の様子です。

手術、1週間前にはステロイドの投与を行いましたが

歯と接触している部分が大きく腫れあがり、簡単に出血してしまいます。

ステロイドによる効果はありません。
 


 


 


 

手術は犬歯以外の歯をすべて抜歯することから始めます。

その後、炭酸ガスレーザーにより、赤く腫れている部分を蒸散し、治癒を早めます。

レーザー照射により、早期の痛みの緩和が期待できます。

次の写真は術後の写真です。
 


 

黒くなっている部位は蒸散を、赤い部位の表面もレーザー照射をしています。

術後2日間、入院、点滴を行い、その後、自宅にて経過を見ました。

次の写真は、1週間後の写真です。

無麻酔で口を開けても、大丈夫。
 


 

どうですか、この回復力の凄さ。

ちなみに、この子はエイズウイルスが陽性です。

全ての猫たちが、このように劇的に回復しませんが、7割以上の確率で良くなることは確実です。

こんなネコちゃんを診察していると、抜歯がいかに重要か伝えたくなります。

犬歯の破折修復

今回は大型犬の犬歯の破折の症例を紹介します。

破折の原因は不明ですが、これだけのサイズの犬歯の破折はあまり起こりません。

破折後、時間の経過はありましたが、年齢が若いということ、経過が悪ければ抜髄処置

を行う条件で、歯髄の保存療法を行いました。
 


 

写真のように、中心部が露髄しており、歯の変色が見られます。

このままの、位置での修復は感染、破折が起こるために、

肉眼的に歯髄が健康である位置まで、切削し歯冠の短縮を行いました。

その後、レーザーで歯髄を蒸散し、歯冠修復を行いました。
 


 

この症例では5ミリ程度、歯冠をカットしています。

破折から、治療までの期間が短ければ、確実に歯を残すことが可能です。

歯の修復

歯で一番よく破折するのは、上顎の一番大きい歯(前臼歯)です。

犬は、口の中の物がどんなに硬くても、噛むことを諦めません。

オーナーさんも、硬いものをカジらせると、歯が綺麗になると思い、ついつい与えてしまいます。

これが大問題。

動物の歯は、それほど硬い物ではありません。

いつかは、欠けてしまいます。

こんな時、歯の修復を行います。

今回は破折後に修復を行った症例を紹介します。

写真は修復前の写真です。

赤い所は、歯髄です。

この様子を露髄といい、神経と血管がむき出しになっている状態です。

この状態では激痛を伴うはずですが、オーナーさんが気づかないことが多いようです。

歯髄を保護しながら、歯を元の状態に形成していきます。

この症例のように、破折が歯肉縁下に及んでいるので、歯肉をレーザーで凝固させています。

歯肉の辺縁が黒くなっているのは、そのためです。

くれぐれも、硬いおもちゃ、お菓子は、あげない様にしてください。

歯瘻(しろう)

症例を1つ紹介します。

ダックスの8歳の男の子
歯周病の処置に来院されました。

ここで問題となるのは、第1全臼歯の上にある、赤いふくらみです。

これは、歯瘻といわれる、歯の疾患に由来する化膿性病巣が、

口腔粘膜や皮膚に穴を開けた状態をさします。
歯周炎から根尖膿瘍を形成して瘻孔を形成する場合が多いです。

簡単に言えば、歯の根元に膿がたまり、出口を歯肉に作ってしまった病気です。

抜歯の適応となり、完治します。

外傷による歯の変色

 

今回は歯の変色の症例を紹介します。

当院でも、歯の変色に遭遇する経験は多くありません。

人間だと、気になって白くしたいと考えますが、ペットでは?
 

変色の原因は、歯の打撲などにより、数日あるいは数ヶ月たってから

歯の色が黒ずむことがあります。
外傷により歯が変色するのは、外力によって歯が大きく動き、

不安定な脱臼状態となり、歯髄内での内出血と

歯の根で血管の欠陥と神経がちぎれるのが原因です。
外傷直後は歯髄内出欠が透過しピンク色に見えることもあります。
外傷から数日間の変色は、歯髄内の出血が原因です。

歯髄内の出血でなく、血液が循環しなくなって歯髄が壊死し、

時間がたってから変色する場合もあります。

ウサギの口の痛み

ウサギの不正咬合よって、食欲不振になる症例はとても多いです。

口のなかを見ると、舌の半分近くが、削ぎ落とされている子や

少しの歯のトゲでも、食欲が無くなる子など、様々です。

結局の所、麻酔をかけて削ればすぐに完治します。

ただし、再発はまぬがれません。

極端な例では、1ヶ月に1回のペースで、処置を行った高齢のウサギもいます。

顎の下が汚れているようなウサギは要注意です。

炭酸ガスレーザー 症例1

導入、の翌日
ネコの重度歯周病の全額抜歯を行ないました。

歯周病で半分の歯は、すでに抜け落ちていますが口を覗くと、歯石が山のように盛り上がり
その歯石と接する歯肉が炎症を起こして腫れていました。

抜歯後レーザーで、炎症部位を蒸散(悪い組織を蒸発させる)処置を終えました。

高齢にもかかわらず、麻酔の覚醒もよく、次の日には、ドライフードをパクパク食べていました。

炭酸ガスレーザーの特徴は

1.腫瘍の切除
2.軟組織の蒸散、止血、切開
3.メラニン色素の除去
4.軟組織疾患の鎮痛、消炎
5.う蝕部の蒸散、殺菌、消毒
6.象牙質知覚過敏症の誘発痛の緩和
などです。

処置後の痛みが少ないというのが、一番の利点です。
高齢でも、手術時間を短縮させ、麻酔のリスクを減らすことによって高齢でも安全に手術が出来ると思っています。

次の日は乳腺腫瘍の手術で使用しましたがやはり、翌日の腫れが非常に少ないです。

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